京都のリーマンメモリーズ

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【書評】グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす  森川潤  文春新書

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今週のお題「あったか~い」

「ジャイアンツ」と言えば?「巨人」ですね。では、「ジャイアント」と言えば?「馬場」ですね。この答えが合うと、とても心があったか~くなりますね。(笑) 今回は、地球があったか~い状態になるとヤバいので、なんとか食い止めようと言うお話。これを読めば、地球温暖化にまつわる問題点が見えてくるという、すんごい本をご紹介します。(笑)

 

【1.本書の紹介】

最近、やたらとゼロ・カーボンという言葉を聞きませんか?

 

地球の温暖化防止の為、炭素排出をゼロにしようという国際的な動きですが、なんだか日本の方針や行動がギクシャクしているような印象を受けます。

 

さて、ゼロ・カーボンにおける日本の立場はどうなっているのでしょうか?

 

また、脱炭素ビジネスはどういう動きになっているのでしょうか?

【2.本書のポイント】

 エネルギー業界の盟主へと踊り出てきた企業たちを「グリーン・ジャイアント(再エネの巨人)」と呼ぶ。

 

今日本を騒がせている「2050年のカーボンニュートラル」は、この30年をかけた気候科学の叡智が辿り着いた結論だった。

 

人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことに疑う余地はない(IPCC第6次評価報告書)

 

バイデン大統領が唯一、一貫しているのは「脱炭素を経済につなげる」というビジョンである。

 

中国は今や世界の太陽光パネルの7割を生産している。

 

日本の年金が、ESG投資の原則で運用されるようになった。

 

今は「エシカル消費」という言葉が出てきているように、ミレニアル世代やその下の Z 世代は、環境や社会に良いことをしている企業しか応援しなくなり始めました。 (一橋大学 名和高司特任教授)

 

イーロンマスクは、自動車の設計を変えるよりも、工場を改良することで効率を10倍以上に向上させることができると考えている。

 

豊かな国は、すべて100%合成牛肉に移行すべきだと思います。

 

世界がカーボンニュートラルへと進む中では、日本でも「牛」分野での大きなシフトがいずれやってくるのは避けられないだろう。

 

「ナトリウム(新型原発)」は、エネルギー業界のゲームチェンジャーになるはずです(ビルゲイツ)

 

本命のイノベーションである蓄電池の進化には、かなりの時間がかかる。

 

世界がカーボンニュートラルに向かう中で、原発を巡る評価は今揺れ動いている。

 

大統領選を通じて取材したニューヨークの若者たちは、ほぼ全員が「気候変動がもっと争点になるべきだ」とそろって答えていた。

 

株主価値の最大化は、豊かさを最大化するわけではない(ジョセフ・スティグリッツ)

 

「市場の失敗」というのは、つまり自由市場が社会の豊かさを最大化しないということであり、今や経済学者が気候変動を語るときに必ず出てくる言葉となった。

 

成長と二酸化炭素排出量の削減は両立しません。つまり、本気で”地球を守ろう”、”公正な社会を作ろう”という目的を達成するためには、利潤を際限なく追求する資本主義というシステムそのものに問題があることに気付かなくてはなりません。(斎藤幸平)

 

福島事故から10年、日本がカーボンニュートラルに向かう始まりの年は、日本が原発と向き合う最後のチャンスかもしれない。

 

日本からは「未来をつくる側」の企業や人物がほとんど登場していない 。

 

日本の負け続ける姿、その構図はきわめて単純だ。 日本は、ピークにあった1990年代前後の成功体験から抜け出せず、その仕組みを変えたくない、ということに尽きる。

 

スマホでも、インターネットでも、エネルギーでも、できるだけ現状を維持したいというバイアスが主流派を占め、次の時代を率いるようなビジョンやテクノロジーは生まれてこない。今の気候変動やエネルギーをめぐる議論も、まさに同じ道のりを辿っているように見える 。

 

【目次】

はじめに

第1章 カーボンニュートラル狂騒曲

第2章 グリーン・ジャイアント

第3章 気候変動とマネー

第4章 テスラのトヨタ

第5章 気候変動とイノベーション

第6章 Z 世代と資本主義の「次」

第7章 日本に残された勝ち筋

おわりに 

【3.本書の感想】

一連のゼロ・カーボン動向の中での、日本の立場が何となく理解できました。

 

新しいルールづくりを目論む欧州、イノベーション力が強い米国、太陽光発電やEVの世界最大市場を持つ中国、とりあえず見栄を張る日本、という感じでしょうか。(笑)

 

状況は、はっきり言ってよくないですね。

 

日本は社会や文化など素晴らしいものを持っているので、それでいいのだと言えばそれまでですが、国際社会の一員という立場で考えると、海外の動向を真面目に見ていなかったような気がします。

 

ゼロ・カーボンの影響で、人工肉や植物性ミルクが当り前の社会になりそうです。

 

地球温暖化防止の為とは言え、人工的な食料を毎日食べる生活には、違和感を覚えますね。

 

よく考えると、既にインスタント食品は、たくさん食べていますので、その親戚と捉えればいいのでしょうか?(笑)

 

人工肉や植物性ミルクに留まらず、ゼロ・カーボンをキッカケとして、海外では確実に新しいビジネスが育とうとしています。

 

エネルギーに関して、ビル・ゲイツは次世代の原発を推していますが、日本では次世代原発についての議論がありません。

 

資源がほとんど取れない日本は、今ある原発を長く利用することを考えるのではなく、次世代の原発も議論の中に入れて検討するべき時に来ているそうです。

 

IoTビジネスもそうでしたが、脱炭素に関しても出遅れて、ガラパゴス化しているのかもしれません。

 

日本は良い国だと自己満足している間に、未来を作る側の人が出てこなくなり、他国に置いて行かれる状況になってきました。

 

この本は、ゼロ・カーボンに対する世界の動き、日本の立場、問題が一気に理解できます。

 

環境やESG、脱炭素銘柄が気になっている方にとっては、情報の広さ深さのバランスが絶妙で、とても良い本ですので、是非ご覧ください!

 

グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす (文春新書)

 

【4.関連書籍の紹介】

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