京都のリーマンメモリーズ

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【書評】危機と人類 上下巻 ジャレド・ダイアモンド 日本経済新聞出版社

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著者は、「銃・病原菌・鉄」で大変有名なジャレド・ダイヤモンドさんです。

 

アメリカ国家科学賞タイラー賞コスモス賞ピューリッツアー賞など沢山受賞されている方です。

 

それぞれの賞はすごそうですが、中身はよくわかりません。(笑)

 

簡単言うと、めちゃくちゃすごい人が書いた本が出ました!という事になります。 

 

【1.本書の紹介】

 

この本は「国家的危機の帰結に関わる要因」を用いて、7つの国(フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アメリカ)について考察しています。

 

「国家的危機の帰結に関わる要因」は、危機療法の専門家たちが突き止めた個人的危機の解決の成功率を上げる要因(個人的危機の帰結にかかわる要因)12個を参考にして、著者が策定したものです。

 

この本を読んでまず、フィンランドの地理的制約を初めて知り、とても驚きました。

 

ソ連(現ロシア)と一番長い国境を接する国の生き方を知りました。

 

一度ソ連と戦った経験のあるフィンランドが取った戦略は、ソ連とケンカをしないこと

 

まともに戦えば、国が滅びてしまうので、いかにうまく付き合っていくかという方針が取られました。

 

そのため、民主主義国家であれば、普通はやらないこと、大統領の任期変更や言語統制を行っています。

 

隣家の悪口を言うと、拳銃の弾が、下手したら大砲が打ち込まれるようなものだからです。

 

国とは?民主主義とは?を考えさせられましたが、何よりも国の存続を第一に考えるのその思想に共感しました。

 

もちろん国を守るために兵役もあります。

 

「国家独立」に対してとても意識の高い国です。

 

こちらの本は、上下巻合わせて600P程になります。

 

ジャレドダイヤモンドさんの著書はたいていボリュームがありますので、休み休み読むとなかなか読み終わりません。

  

というわけで、普段なら、ポイントとして、抜き出す箇所が膨大になるのですが、今回は、上下巻を1回の記事にまとめて、更に、ポイントを絞りに絞ってご紹介しようと思います。

 

それでもいつもより多少長めではありますが、上下2冊のエッセンスを詰め込みましたので、短時間でこの内容の素晴らしさを理解して頂けると思います。 

【2.本書のポイント】

承認欲求という虚栄心にそそのかされずに、人生で本当に追求したいことを明確にするべきだ。これが「ウォールデン 森の生活」の核となるメッセージだった。

 

ベストなのは、患者が新たな、より効果的な対処法をみつけて、以前より強くなって危機を脱することだ。漢字2文字の「危機」はよく表している。「危」は「あぶないこと」、「機」は、「きっかけ、機会」を意味する。同様な考えを、ドイツの哲学者フリードリッヒニーチェは「あなたを殺さないものは、あなたを強くする」と表現し、ウィンストンチャーチルは「良い危機を決して無駄にするな」と言った。

 

国家的危機の帰結に関わる要因
1 自国が危機にあるという世論の合意
2 行動を起こすことへの国家としての責任の受容
3 囲いを作り、解決が必要な国家的問題を明確にすること
4 他の国々からの物質的支援と経済的支援
5 他の国々を問題解決の手本にすること
6 ナショナル・アイデンティティ
7 公正な自国評価
8 国家的危機を経験した歴史
9 国家的失敗への対処
10 状況に応じた国としての柔軟性
11 国家の基本的価値観
12 地政学的制約がないこと

 

フィンランド人は、対ソ戦前の外交政策の間違いから学んだのだ。ソ連から信頼を獲得し、経済的独立と言論の自由を一部犠牲にする以外に、政治的独立を維持する方法はない、という事実を最終的には正視した。

 

明治日本には手本となるものがたくさんあった。イギリス、ドイツ、フランス、アメリカなどの西洋諸国から分野ごとに手本となる国を選ぶことができた。

 

チリの国境は太陽と砂漠と高くそびえる山々で守られ、しかも隣国はチリにとって脅威ではない。となれば、軍事力の使用が唯一考えられるのは、おそらくチリ国民に対してなのだろう。

 

スカルノは、パンチャシラ建国5原則を掲げた。唯一神への信仰、人道主義、インドネシアの国家的統一、民主主義、全てのインドネシア人に対する社会正義という五つの原則である。


ポーランドの群衆の前でブラントは自ら進んで跪き、ナチスによる犠牲者数百万人を追悼し、ヒトラーの独裁と第二次世界大戦に対する赦しを求めた。アメリカ大統領がベトナムの人々に、日本の首相が朝鮮半島や中国の人々に、スターリンがポーランドとウクライナの人々に、ド・ゴールがアルジェリアの人々に、同じことをしてはいない。跪いて謝罪をしない指導者は大勢いるのだ。

 

オーストラリアの人々にとって、本書で扱ってきた他のどの国の住人よりも根本的な疑問となったのは、「われわれは何者か?」というナショナル・アイデンティティの問題だった。

 

オーストラリアはこれからも、基本的価値観の見直しと一連の選択的変化を続けていくに違いない。

 

人口が減れば、日本は困窮するのではなく非常に裕福になるだろうと私は思う。なぜなら、必要とされる国内外の資源が減るからだ。日本の人口減少は問題ではなく大きな強みの一つとなるはずだと私は見ている。

 

アメリカ人ノーベル賞受賞者の1/3が外国生まれ、半分が移民あるいは移民の子供であることは意外ではない。なぜなら、ノーベル賞を受賞するほどの研究には、移民と同じ大胆さ、リスクの許容、勤勉さ、野心、イノベーティブであることが必要だからだ。

 

私の見るところ最も不吉な問題とは、アメリカ人による政治的妥協が加速的に衰退していることだ。

 

二極化、不寛容、暴力的な言動が、政治以外のアメリカの社会の様々な分野で増大している。

 

アメリカ政府、あるいは州政府を手中に収めた政党が有権者登録をどんどん操作し、裁判所判事に同調者を送り込み、こうした裁判所を使って選挙結果に介入し、「法的処置」を発動し、警察や国家警備隊、陸軍予備軍や陸軍そのものを使って政治的反対勢力の抑制を行うという未来が予見される。

 

アメリカを破壊できるのはアメリカ人自身だけである。

 

ロサンゼルスでも他のアメリカの大都市でも今後は間違いなく暴動が増えるだろう。

 

公正な自国評価も足りていない。アメリカの基本的問題が、二極化、得票率と有権者登録に伴う障害、格差の拡大と社会的流動性の衰退、教育や公共目的への政府予算の減少であるということについて、幅広い合意は得られていない。

 

 

ダメージは必ずあるにせよ、風車、砂漠の太陽光パネル、ダムに理があることが分かる。

 

私たちは問わねばならない-原子力のリスクは何か、代替エネルギーのリスクは何か、と。

 

原子炉事故の「可能性」への恐怖は、化石燃料の燃焼による大気汚染で毎年何百万人もの人々が死に、化石燃料によって生じた世界的気候変動がとてつもない荒廃をもたらす「確実性」と比較すべきである。

 

世界人口と消費が伸びるにしたがい、限られた資源を巡る国際競争が原因となり、多くの、実に多くの紛争がさらに起こると思われる。

 

石油や金属といった資源の国民1人当たりの平均消費量や、プラスチックゴミは温室効果ガスのような廃棄物の国民一人当たりの平均排出量は、先進国が発展途上国の最大32倍である。

 

国民の多くが絶望や怒りを抱えているのは貧困国であり、そこではテロリストが容認あるいは支持されている。

 

避けられそうにない世界の資源の枯渇、二酸化炭素レベルの上昇、世界規模の格差により、人類が実験・操作できる余地はほとんどない。こうした残酷な現実のすべてが、人類にまともな未来はないと多くの人を悲観的にさせ、あるいは絶望させている。

 

チリとインドネシアでは、勝者が敗者集団の多くを殲滅することで危機が消滅した

 

日本は現在、いくつかの問題(巨額の国債発行高と高齢化)を認識しているが、日本の女性の役割という問題については認識が十分でない。他に、今も否定を続けている問題もある。すなわち、人口問題解決のための移民受け入れという選択肢に反対しているし、中国及び韓国との緊張関係の原因である歴史問題を否定しているし、海外の自然資源の獲得ばかりに走って持続可能な管理を試みないという政策が今や時代遅れであることを認めていない。アメリカも大きな問題をいまだ否定し続けている。すなわち、政治の二極化、投票率の低下、有権者登録への障害、格差、社会的流動性の低さ、公共財への政府投資の減少である。

 

明治日本は、「憎き毛唐ども」の方が強大で、日本が実力をつけるには西洋から学ぶしかないという辛い真実に直面した。そして多くの官僚や民間人を欧米に派遣して、西洋の正確な知識を入手した(対照的に、日本が第二次世界対戦という破滅の道を選んだ一因は、1930年代の青年将校たちに、その実力についての直接的な知識が欠けていたことだった)。同じくフィンランドも、潜在的な同盟国から支援を受けることはほぼ不可能であり続けるだろうし、ならばフィンランドの対ソ政策はソ連の信頼を勝ち取りソ連の視点を理解するしかないという厳しい現実に、正面から向き合った。そしてオーストラリアは、かつては存在していたイギリスの経済的かつ軍事的重要性が消滅し、アジアとアメリカがより重要になったという現実を認めることで世論の合意を得た。

 

フィンランドは占領につながる譲歩は断固として拒否したが、他国なら民主主義国として絶対にしないこと-自国の大統領選出のルールを他国に都合よく変えることなど-ついては非常に柔軟だった。

 

ある特定の国の歴史を理解すれば、それにもとづいて将来その国が取りそうな行動を予想しやすくなる

 

大国に脅かされている小国はつねに気を配り、別の選択肢を考慮し、選択肢を現実的に見極めるべきだということだ。

 

本書が取り上げた国家的危機の歴史から、具体的に学べることひとつは、7カ国が危機に対する際に役立った、一連の行動である。自国が危機のさなかにあると認識すること。他国を責め、犠牲者としての立場に引きこもるのではなく、変化する責任を受け入れること。変化すべき特徴を見極めるために囲いを作り、何をやっても成功しないだろうという感覚に圧倒されてしまわないこと。支援を求めるべき他国を見出すこと。自国が直面している問題と似た問題をすでに解決した、手本となる他国を見いだすこと。忍耐力を発揮し、最初の解決策がうまくいかなくても続けていくつか試す必要があるかもしれないと認識すること。重視すべき基本的価値観ともはや適切でないものについて熱考すること。そして、公正な自国評価を行うこと。

 

若い国はナショナル・アイデンティティを構築する必要があり、古い国は、ナショナル・アイデンティティ、そして基本的価値観を見直す必要があるかもしれない。オーストラリアは近年、そうした見直しを行った事例である。

 

現在、「あたりまえ」無視して自らの幸福を危険に晒している人々の中には私の同胞であるアメリカ人数億人が含まれる。

 

 

【上巻 目次】

日本語版への序文

プロローグ ココナッツグローブ大火が残したもの

第1部 個人

 第1章 個人的危機

第2部 国家ー明らかになった危機

 第2章 フィンランドの対ソ戦争

 第3章 近代日本の起源

 第4章 すべてのチリ人のためのチリ

 第5章 インドネシア、新しい国の誕生

 

【下巻 目次】

 第6章 ドイツの再建

 第7章 オーストラリアーわれわれは何者か?

第3部 国家と世界ー進行中の危機

 第8章 日本を待ち受けるもの

 第9章 アメリカを待ち受けるものー強みと最大の問題

 第10章 アメリカを待ち受けるものーその他の3つの問題

 第11章 世界を待ち受けるもの

エピローグ 教訓、疑問、そして展望

 

【3.本書の感想】

この本の中では、明治日本に関しては割と好意的に書かれていますが、第二次大戦に関しての日本はあまりいい書き方がされていません。

 

歴史認識は私とは異なりますが、海外の人の見方はこうであるということは参考にしたいとと思います。

 

オーストラリアの歴史はあまり知らなかったので、今回、イギリスとの関係がよく理解出来ました。

 

チリやインドネシアなど、ほぼ歴史を知りませんので、こういう切り口で読むと、とても参考になりますね。

 

本書を読むとアメリカは問題だらけの国であるということがよく理解出来ます。

 

母国だけあり、その問題点が詳細に記載されていて、まるで警鐘を鳴らしているように感じました。

 

【4.ブループラネット賞受賞】

ジャレド・ダイヤモンドさんは、2019年度のブループラネット賞を受賞されています。

ブループラネット賞は、地球の環境問題の解決のために優れた研究をした人や、熱心に活動を続けてきた人たちをたたえて贈られる賞です。

歴代受賞者を見てみましたが、すごい方ばかりのようですが、すごすぎてよくわかりませんでした。(笑)

 

この本でも、第11章の中で環境について言及しています。

 

今後の世界の環境に関して、大変懸念を抱いておられます。

 

そんな中でなんと!タイミング良く、2019年12月に受賞記念の講演会がありました。

 

ジャレド・ダイヤモンドさんに会える!ということで京都大学まで聴きに行きました。

会場は200名程のスペースだったので、実際に講演を聞けたのはとてもラッキーでした!

2人目の講演がジャレド・ダイヤモンドさんでした。

1人目が終わって席が空いたら、前の方に行こうと期待をしていました、休憩が終わると、皆さん、元の席に帰ってきました。(涙)

講演スライド集が配られましたが、内容は、調査で訪れた場所の写真だけで、文字による解説等は全くありませんでした。

 

講演も、今まで訪れた国、特に原始的な生活をしている人々の写真を見ながらの懐かし話のような感じでした。

 

ジャレ・ドダイヤモンドさんはまた数年後に新しい本を出版されると言っていました。

 

新刊を楽しみにしたいと思います。

  

この本は、危機を乗りこえた過去の事例から、今後の国の行方を考えるヒントが得られます。

 

中身は優しく分かりやすく書かれていますので、歴史に弱いという方でも、是非御覧下さい!

  

危機と人類(上)

危機と人類(下)

 

【5.関連図書の紹介】

↓この作品を読んでいない方はまずこちらを読んで下さい。

多くの知識人との会話が楽しめます。(笑)

社会人として、ビジネスマンとして必須の本と言われいます。

銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎 文庫 (上)(下)巻セット

環境と言えばSDGsですね。こちらもどうぞ!

www.fukuikeita21.com

 「銃・病原菌・鉄」が影響を与えた本はこちらです。www.fukuikeita21.com

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【6.シャレでダイヤモンド】

話は大きく変わります。

皆様は、ダイヤモンド?病原菌?新型コロナウイルス?

 こんな連想をしませんでしたか?

 ジャレド・ダイヤモンド

→ダイヤモンド・プリンセス号(クルーズ船)

→プリンセス・プリンセス ダイヤモンドだね。(笑)

 というわけで、まずは若き日のダイヤモンドをお聞き下さい。


プリンセス。プリンセス Diamonds HD

 いかがでしたでしょうか、初々しいプリプリでしたね。

続きましては、すっかり大人になったプリプリのダイヤモンドです。


プリンセスプリンセス 震災から5年 明日へのコンサート

 いかがでしたか?

身近なところでも歴史を感じることが出来ましたね。

プリンセスプリンスは、なかなか姿を見ることが出来ませんが、私達の心の中で歌い続けています。

 

最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!