京都のリーマンメモリーズ

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【書評】私とは何か 「個人」から「分人」へ   平野啓一郎  講談社現代新書

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本書は「日蝕」で第120回芥川賞を受賞された平野啓一郎さんの作品です。

 

この方は、小説家で数々のヒット作品を生み出していますが、今回は、みなさんも1度は悩んだことのある問いに対して、持論を展開されています。

【1.本書の紹介】

私とは何か。自分ってなんだろう?

 

そんな事で悩んだりしたことはありませんか?

 

本当の自分を一番知りたいのは、やっぱり自分自身ですよね。

 

自分自身がわかれば、自分自身の進むべき道が見えてくるそんな気がします。

 

でも、自分自身がいろんな自分を知っているので、いったいどれが本当の自分なのかわからず、悩むことはよくあると思います。

 

私もどれが本当の自分なのか悩んでいます。(笑)

 

さて、著者が考える「私」とはいったい何なんでしょうか?

【2.本書のポイント】

分人とは、対人関係ごとの様々な自分のことである。恋人との分人、両親との分人、職場での分人、趣味の仲間との分人、・・・・それらは、すべて同じではない。

 

分人はすべて、「本当の自分」である。私たちは、しかし、そう考えることができず、唯一無二の「本当の自分」という幻想に捕らわれてきたせいで、非常に多くの苦しみとプレッシャーを受けてきた。

 

自分のしたいことがそんなに簡単にわかるわけがない。職業の多様性は、個性の多様性と比べてはるかに限定的であり、量的にも限界がある。

 

大学時代、私が人から訊かれて一番苦痛だったのが、「将来、何になりたいの?」という質問だった。

 

あらゆる人格を最後に統合しているのが、たったひとつしかない顔である。逆に言えば、顔さえ隠せるなら、私たちは複数の人格を、バラバラなまま生きられるものかもしれない。

 

リアルとネットの間に、本当と虚構との境界線を引くことは間違いである。

 

一人の人間は「分けられないindividual」存在ではなく、複数に「分けられるdvidual」存在である。だからこそ、たったひとつの「本当の自分」、首尾一貫した、「ブレない」本来の自己などというものは存在しない。

 

私たちは、朝、日が昇って、夕方、日が沈む、という反復的なサイクルを生きながら、身の回りの他者とも、反復的なコミュニケーションを重ねている。人格とは、その反復を通して形成される一種のパターンである。

 

分人化は、相手との相互作用の中で自然に生じる現象だ。したがって、虫の好かない人といると、嫌な自分になってしまうことだってある。

 

誰とどうつきあっているかで、あなたの中の分人の構成比は変化する。その総体が、あなたの個性となる。

 

私たちは、自分という人間を、複数の分人の同時進行のプロジェクトのように考えるべきだ。

 

私たちは、一人でいる時には、いつも同じ、首尾一貫した自分が考え事をしていると、これまた思い込んでいる。しかし実のところ、様々な分人を入れ替わり立ち替わり行きながら考え事をしているはずである。

 

分人が他者との相互作用によって生じる人格である以上、ネガティブな分人は、半分は相手のせいである。裏返せば、ポジティブな分人もまた、他者のおかげなのである。

 

消してしまいたい、生きるのを止めたいのは、複数ある分人の中の一つの不幸な分人だと、意識しなければならない。

 

「自分探しの旅」は、新しい環境、新しい旅を通じて、新しい分人を作ることを目的としている

 

人間は、たった一度しかない人生の中で、できればいろんな自分を生きたい。対人関係を通じて、様々に変化し得る自分をエンジョイしたい。いつも同じ自分に監禁されているというのは、大きなストレスである。

 

【目次】

まえがき

第1章 「本当の自分」はどこにあるか

第2章 分人とは何か

第3章 自分と他者を見つめ直す

第4章 愛すること・死ぬこと

第5章 分断を超えて

あとがき

【3.本書の感想】

自分の中にいろんな人がいて、どれが本当の自分なんだろうと思っていましたが、たくさんいる人(分人)が自分を構成しているということがわかって、少し安心しました。

 

自分の中の分人の構成比率によって、自分の幸せ感が強かったり、不幸感が強かったりするんですね。

 

様々な人に出会い、様々な自分を体験し、様々な分人を作る。

 

できれば、たくさんの心地良さや幸せを感じる人と付き合うことが大事なんだとわかりました。

 

逆に、自分にとって嫌な人とばかり接していると、自分も嫌な人間になってしまいますね。(笑)

 

「これが本当の自分」という捉え方をするのではなく、「それも自分」、「あれも自分」と思うことが大切で、人生が嫌になった時は、人生をやめるのではなく、その分人をやめるようにすることが必要だという考えに納得出来ました。

 

就職先については最近、天職を見つけるべきだ的なことがよく言われていますが、自分に合う職業はそもそもなくて当たり前のようです。

 

極端な話、弥生時代には、田畑を耕すか、働け!と命令するか、しか仕事がありませんでした。

 

その時代に比べると遥かにたくさんの仕事がありますが、例えば、日本人1億2千万人の個性の受け皿となる1億2千万の職業はありません。

 

そんな事が理解できると、自分に合う仕事がなくても悩む必要はなく、自分ができる仕事を選ぶのが普通であるということがわかってきますね。

 

逆に言うと、君の天職を見つけよう!なんて言って、就職活動をしている人々の不安を煽るのは、間違いなのかもしれません。(笑)

 

世の中に自分に合う仕事がない人は、自分で仕事を作ってしまうのが1つの答えですね。

 

自分とは何か?を悩んでお困りの方、生きていくのが辛いという方、一度この本を読んでみて下さい!

私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)

 

【4.関連書籍の紹介】

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 最後までのお付き合いありがとうございました!