【1.本書の紹介】
皆さん、こちらの小説をご存知でしょうか?
そう、誰もが知っている(と思われる)ミステリーの大家アガサ・クリスティーの名作中の名作と言われる作品です。
この題名が印象に残るからでしょうか、小説の内容を知らないと思われる人までが、ふだんの会話の中で、「・・・そして誰もいなくなった。」という言葉で話を締めくり、ドヤ顔をするのを見かけます。(笑)
この有名過ぎる小説は、一体どんな内容なのでしょうか?
【2.本書のポイント】
『そして誰もいなくなった』によせて マシュー・プリチャード
それにしても、「誰もいなくなった」の見事なプロットと言ったらどうでしょう!
10人の男女が偽の口実でデボンの孤島に呼び出され、週末を過ごすことになります。
最初の夜、どこからともなく録音の声が流れ、そこに集まった人々全員が過去において殺人を犯したと糾弾し、彼らが殺した「犠牲者」の名まで読み上げます。
いずれの場合もはっきりとした殺人ではなく、目撃者がいなかったために事故や不注意による過失致死、または自殺として片付けられていたというのです。
このような”殺人”は通常の場合、白日の下にさらされることはなく”殺人”とも呼べないものです。しかし、厳密に正義の観点から考えると、トーキーの街の真ん中で白昼堂々他人を射殺するのと、人の命を奪うという点では何ら変わりありません。
ここに本書の道徳的なテーマーー狂信的な方の信奉者が、過去に不正を働いたものを一堂に集め、正義の裁きを下すーーがあります。
本書の優れている点は、島にいる作中の人物たちや読者に、これから起こりつつある事が徐々に明らかになっていくことにあります。
テーブルの上に置かれた十体の陶器の人形が、殺人が起こる度に1つまた1つと消えていくことや、額に入れられた古い童謡の歌詞ーーパーティーが終わって、1人、また1人と去っていき、最後に「そして誰もいなくなった」となるーーが、さらに緊張感を高めています。
本書は強烈なドラマ性を持っているがゆえに演劇としても大成功を収め、後には映画化もされました。
しかし、正直に申し上げると、小説が紡ぎ出す耐えられないほどの緊張感は、他のメディアには到底太刀打ちできないものです。
【3.本書の感想】
本書を読み終えるとびっくりします!
10人が殺されるという内容でありながら、陰湿な感じはなく、一旦読み始めると、次が気になって気になって、どんどん読み進んでしまいますが、誰が、どのようにして人を殺しているのかわかりません。
最後まで読んで初めて、なるほど!と理解できます。
最後まで謎だらけですが、最後は、きちんとスッキリさせてくれます。
上記にある「デボンの孤島」と紹介のある「兵隊島」という孤島に10名が呼び出されます。
それぞれの(元)職業は、元判事、体育教師、元陸軍大尉、老婦人、退役軍人、医師、青年、元警部、執事、執事の妻です。
見てのとおり、漢字であればその職業や人の雰囲気が、なんとなくイメージできますが、作品の中ではカタカナの名前で出てきます。
ロレンツォ・グレープ、ヴィエラ・グレーゾーン、フィリップ・ロンバードというようにカタカナになっているために、その名前が出るたびにこれは誰だったっけ?という風に振り返りが必要になります。(笑)
記憶力を試されているような気になります。(笑)
カタカナの名前を覚えるのは難しいので、この小説の舞台となっている「兵隊島」の名前を覚えておきましょう!
すると、下記のような会話ができるようになります。
「誰もいなくなったって知ってる?」
「兵隊島だね!」
「10人が殺された場所は?」
「兵隊島だね!」
もう、これで、「そして誰もいなくなった」ツウです!(笑)
会話のテンポがわからない方は、下記動画16秒からのアニメ部分を御覧下さい。
こちらのCMは、昭和の時代に大ブレークしました。
上から読んでも山本山、下から読んでも山本山というキャッチフレーズで、日本中誰もが知る企業となりました。
この影響で子どもたちは、山本山は上から読んでも下から読んでも山本山だということが頭の中に刷り込まれてしまいました。
当時は学校などで、「上から読んでも下から読んでも同じものを言ってみましょう!」と言われた時、トマト、しんぶんし、に混ざって、「山本山!」と言う人が必ずいて、「それは違います」と注意を受けていたという事件があちらこちらで発生していました。(笑)
さて、この本は、2回目を読んでもまた面白いという、とてもお得な小説となっています。
コロナの夜長をお過ごしの方、アガサ・クリスティーの入門書としても、こちらをお勧めします。
何か面白い本はないかな?とお探しの方は是非この古典の名作を読んでみてください!
文字ばかりだと分かりにくいという方はこちらを御覧下さい。
【4.関連書籍の紹介】
さて、現代日本においても、ミステリー小説の水準はとてもハイレベルになっています。こちらの本はとても分厚い本ですが、すぐに読んでしまいます。
これぞ、ハラハラ・ドキドキ、ミステリーの吸引力ですね。
はてなブロガーにも未来の大小説家がいます。
今回は「兵隊島」との島つながりで「記憶のない島」という物語をご紹介します。
とても不思議な感覚になります。
こちらの結末も乞うご期待!
最後までのお付き合いありがとうございました!