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【書評】私の体験的ノンフィクション術  佐野眞一  集英社新書

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ノンフィクションを書く、その苦しさと面白さがよくわかります。

 

ノンフィクションとは程遠いですが、今まで自分が書いた作文を思い出してみると、取材量の圧倒的少なさを恥ずかしく感じました。

 

今まで、頭からひらめき湧き出てくるものを書くべきだそれがオリジナルだと思っていましたが、頭の中にはほぼストックがない状態なのに、いい文章が書ける訳がないですね。(笑)

 

 

【1.本書の紹介】

文章を書くテクニックの問題もありますが、根本的に良い文章を書くためには、良質なまたは大量の材料が必要だと言う事がわかりました。

 

材料を集めるにはにはやはり現場を取材することが大切で、現場に行って実際に体感することが外せません。

 

著者の佐野眞一さんは、自分が影響を受けた人として宮本常一さんを挙げています。

 

宮本さんは民俗学者で、日本中をひたすら歩いて現地に赴き、様々な土地の「忘れられた日本人」を残しました。

 

宮本さんは73年の人生の中で、16万キロおよそ地球を4周分のほとんど自分の足で歩いたそうです。

 

「忘れられた日本人」には造られた日本人の物語ではなく、オリジナルな物語が多様に記されています。

 

逆に言えば、今の日本人が、すっかり均一的になってしまったという事がわかります。

 

その宮本さんの精神を受け継ぎ、ノンフィクション作家としてノンフィクション世界の魅力にどっぷりとハマり格闘し続けているのか佐野眞一さんです。

 

この本では、宮本常一さんの作品や、佐野眞一さん自身の作品を紹介しながらノンフィクション作品の魅力を語っています。

 

【2.本書のポイント】 

私はこれまで民俗学者の宮本常一に関する著作を2冊書いてきた。宮本の文章で私が最も感銘を受けるのは、「知」を自負する狭い閉鎖集団にしか通用しそうにな隠語めいた「大文字」言葉を一切排し、誰にでもわかる「小文字」言葉で全編語りながら、紛れもない生きた人間の声が定着していることである。

 

ノンフィクションとは、固有名詞と動詞の文芸である。固有名詞と動詞こそが、人類の「基本動作」であり、「歴史」である。

 

かわらないということは「古くさい」ということではなく、そこに生活する人間にとって何か素晴らしいシステムがあるから、変わらずにすんできたのではないか。「かわらない」と言う「動態」を営むことこそ人間の叡智と言えるのではないか。

 

飛ぶように疾駆した少年の切迫感を体験できただけでも良かったと思った。インターネットの発達で、我々は地球の裏側の情報さえ瞬時に得ることができる。取材は情報にどれだけ早くアクセスできるかを争うゲームではない

 

これだけは決して忘れぬように、と言って父親が宮本に送った十ヶ条のはなむけの言葉がある。このうち次の三か条はノンフィクションの要諦とも言うべきものである。
汽車に乗ったら窓から外をよく見よ
村でも町でも新しく訪ねて行ったところは必ず、高いところへ登ってみよ
人のみのこしたものを見るようにせよ。

 

「地縁」といえば、コンビニエンスストアの勃興期、セブンイレブンの開発責任者からこんな話を聞いて、なるほど、と感心したことがある。酒屋と米屋がその地域の正確な消費者情報を最も多く握っている

 

カタカナはひらがなに比べて崩しようがないため読みやすくメモを取るには最適である。

 

今誰もが求めようとしているのは、どんなに世の中が変わろうと、変わることのない人間の真実の姿ではないか。

 

まず自分の頭の中で書くべきものを一度映像化し、それをシナリオのように言語化する。

 

ルポタージュの傑作
開高健 ずばり東京 文春文庫
開高健 人とこの世界 中公文庫

 

ノンフィクションのテーマは、外部にあるのではなく、生きる過程で自分の中にマグマのように溜まってきた名状しがたい感情の中にある

 

業界紙とは、ひょっとすると、日本経済の動向を最もヴィヴィッドに伝えるメディアではないか、という仮説が生まれてくる。と同時に、日本の政治や社会状況を最も鮮明に映し出すメディアではないか、という思いも湧いてくる。こうした仮説や思いこそ、ノンフィクションに至る最初の入射口である。

 

「取材」とは「発見」であり、その「発見」がまた新たな「取材」行為を生み出し、真実をさらに深化させていく弁証法的な足取りのことである。

 

私が考える「いいテーマ」とは、テーマ自身が時間とともに成長していく課題のことである。

 

なぜ小説を書く方向に行かなかったのですか、と聞かれる。「事実は小説より奇なり」と心底思ったから、それを自分の作品で実証していきたかったから

 

私はノンフィクションとはどれだけ無駄を重ねられるかで作品の質が決まる文芸だと思っている。宮本常一流にいえば、資料収集の過程で、どれだけ「道草」を食えるかが、やせ我慢を含めての重要なポイントである。

 

私はノンフィクションをつくるには、三つの大きな塊があると思っている。一つは「取材」という塊である。「仮説」から出発して「文献」を漁り、実際に関係者に会うまでの流れ全体が、私に言わせれば「取材」である。二番目が「構成」という塊である。そして3番目が、「執筆」という塊である。1番苦しく、挫折の恐れが最もあるのが、この「構成」という工程である。

 

情報というものがピンポイント的に存在するのではなく、別の情報と響き合うことで価値を帯びてくる。情報と情報を「人間観」や「歴史観」の紐でバインディングすること、もっといえば、情報と情報をあえて「衝突」させることで、「情報」ははじめて「物語」を動かす歯車となる。

 

無駄な部分を削ぐことによって文章のスピードはあがるし、そこに盛り込んだ主張もより明確になる。


私が拳々服膺(けんけんふくよう)している言葉に「クールヘッド、ウォームハート」という言葉がある。頭はいつも冷静でなければいけないが、ハートは熱くなくてはならない。

 

私は『遠い「やまびこ」』の取材を通じて、日本の高度成長が、農業の崩壊と教育の荒廃を引き換えにすることによって達成されたものであることを確信した。

 

井上ひさしがいっているように、「難しいものを易しく、易しいものを深く、深いものを面白く」書くのが、ものを書きたる者の王道である。

 

大筋から見て一見関係のない話誰も見向きもしそうにない話をどれだけ集め、それを全体の中にどうちりばめていくかが、私が持論とする「小文字」で書くということの具体的な意味である。

 

自分だけの視点を持つこと②独自の切り口を見つけること③埋もれていた人物を発掘すること、この3点がノンフィクションの最重要要素ということになる。

 

私がやろうと思ったことを別の言葉で言えば、自分が受けた衝撃が一体どこからやってきたかを、胸の底をまさぐるようにして掘り当てることだった。

 

ノンフィクションを書き続ける最大の原動力は、やはり、自分の中に生まれるモチーフの内発的衝動の強さである。他人が何と言おうが決して降ろさない志の旗の高さである。

 

日本を曲がりなりにも先進国の仲間入りにさせる基盤となったのは、「学校」と「書物」の両輪だった。

 

ノンフィクションは固有名詞と動詞の文型という持論を持つ私の立場からすれば、索引自体がその作品の「稜線」と作家の「思想」が眺望できる極めて重要な要素だと思っている。

 

山は頂上まで登らない限り次に登るべき山は絶対に見えてこないということである。頂の見晴らしに立った時、もう一つの山が自分を呼んでいるという不思議な感覚を、私は何度も経験してきた。

我々は今どういう時代に生きているのか。そのことを私は一つ一つの作品を通して、読者一人一人と対話し格闘するような仕事を、これからもこの時代に投げかけていきたいと考えている。

 

人間は伝承の森である。

 

急激な近代化によって日本人の生活環境が一変する以前の、様々な日本民衆の暮らしをこれほど多く書き残した記録は、宮本おいて他に例がない。

 

【目次】
プロローグ
第一章 歩く調査術、みる記録法
第二章 語り口と体験
第三章 仮説を深める
第四章 取材から構成、執筆へ
第五章 疑問から推理までの道のり
第六章 現代の民族学をめざして
エピローグ

【3.本書の感想】

どうして犯人は凶悪な事件を起こしたのか?犯人に何があったのか?もしその謎が分かるなら知りたくないですか?

 

知りたいですよね。

 

新聞やテレビでは、事件は報道しても、犯人がどうして事件に至ったのか、本人はどういう生い立ちであったのかそこまでは明らかにしません。

 

著者は、その真相を取材で明らかにしてしまいます。

 

そんなもん、読むなと言われても、読んでまうやろ~(笑)

  

この本を読むと、それもっと知りたい!という事がたくさん出てきて、読んでみたいと思う本が登場してきます。

 

書評と言うよりも、本紹介の様になりますが、断片を知っただけでも読みたくなった本を紹介します。

 

また、ブックレビューを見ても評価が高い本ですので、是非ご参考下さい。

 

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【4.本書関連の本】

こちらは、宮本常一さんの代表作です。

 

この本を読んで佐野眞一はノンフィクション作家になったと言っても過言ではないでしょう。

 

その徹底した取材力は頭が下がる思いです。

 

全く無名な人の出来事を鮮明に描き出し、その事実には驚かされるばかりです。

 

機会があれば是非読んでみてください!

忘れられた日本人 (岩波文庫)

 

ついては。読売新聞を作った人、日本テレビを作った人、なんと言いましょうか、すごい権力者をターゲットにしています。

 

本書で紹介されていたうちの1つは、昭和34年6月25日に行われたプロ野球巨人VS阪神戦の天覧試合、緊迫するシーソーゲームの中、最後の最後に長嶋茂雄がさよならホームランを打つという、日本人なら誰もが知るまさにドリームゲームについてです。

 

これは試合だけでなく、その背景を考えてもあまりにも出来すぎたストーリーだと感じ、誰かが仕組んだのではないかと考えます。企てたその正体こそ、正力松太郎だったのです。

 

この本を読むと、この歴史に残る天覧試合の見方が、今までとは明らかに変わります

 

そして正力松太郎という人物が、何者であったのかがわかります。

 

めちゃくちゃ分厚い本ですが、読んでしまいます。(笑)

 

是非、読んでみて下さい!

 

正力松太郎と影武者たちの一世紀 巨怪伝 上 (文春文庫)

 

続いては、昭和の時代には知らない人はいないと言う程、繁盛していたスーパーダイエーの創業者中内功を描いた本です。

 

最初の取材から出版まで、約20年にも渡る歳月を掛け、その間に中内功から訴えられています。

 

巨大流通帝国築いた中内功の生涯≒ダイエー栄衰を描いています。

 

知っていたようで、知らないことだらけです。

 

是非、読んでみて下さい!

 

カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)

 

こちらは、東電という名門企業に務めていたOLが、どうして殺されなければならなかったのかというその疑問を取材にぶつけます。

 

じつは、被害者であるOLは少し変態じみた性癖も持っており、その一面にも光を当てます。

 

著者の取材により、当初殺人犯でつかまった青年の無実が主張され、後に無実確定に繋がることになります。

 

警察、ジャーナリズムのいい加減さを露わにします。

 

色んな意味で、考え方を変える必要性を感じました。

 

是非読んでみて下さい!

東電OL殺人事件 (新潮文庫)

 

こちらは、ご存知ソフトバンクの孫正義氏を描いたものです。

 

あくまでも、本人の生い立ちが主になるため、経営手法などを参考にしょうと思う方には向けませんが、どの本も取り上げていない孫正義という人物が理解出来る本です。

 

今からの時代、孫さんを理解しておくことは、日本の未来を予想するために必要な知識だと言えます。

 

是非ご覧下さい!

あんぽん 孫正義伝 (小学館文庫)

 

地方の教育現場で、大変素晴らしいと評価された教育者に教育を受けた生徒たちの、40年後を訪ね、その素晴らしい教えを守ったが故に、いい人生を送れなかったというなんとも切ない人生、そして驚きの実話に迫ります。

 

是非、ご覧下さい!

遠い「山びこ」―無着成恭と教え子たちの四十年 (人間発掘)

 

前回の東京オリンピック前後の世相を描破した、著者がオススメのルポタージュの傑作です。

 

是非ご覧下さい!

ずばり東京 (文春文庫 (127‐6))

 

文士たちの素顔をあますところなくスケッチしています。

 

著者がオススメのルポタージュの傑作です。

 

是非ご覧下さい!

   

人とこの世界 (ちくま文庫)

 

 

 

ノンフィクションの文章って、グイグイ引き込まれますね~

 

この本を読むと、読みたくなる作品が沢山出てきます

 

薄い新書の中に、事実がコンパクトにそして多数紹介されています。

 

中身が濃い情報が詰まった大変お得な本です。

 

まずは、この本から是非、ご覧下さい!

私の体験的ノンフィクション術 (集英社新書)

 

 こちらも自分で調べて書く方法を紹介しています。

www.fukuikeita21.com

取材の大切さを主張しています。www.fukuikeita21.com

 

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最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!