先日「読みたいことを、書けばいい。(田中泰延、ダイヤモンド社) 」を読みました。
そこには、「一次情報を調べまくって記事を書くべし」という事が書かれてありました。
調べるというのは、具体的にどの様に進めていけばいいのか?ということが疑問に残った為、入門書で、評判の高いこの本を読んでみました。
【1.本書の紹介】
調査というのは、実際、面倒くさい感じがしますよね。
だから、自分は、頑張ってグーグルで調べるくらいで終わっています。
この本では、自分たちが自分のことを決めるために、「調査をしてみよう」と主張しています。
その為には、できるだけ一次情報に当り、情報収集をする必要があります。
そして、集めた情報をそれぞれカード化して、カテゴリーで分けて、構成を考えると、報告書が完成します。
調べる為の機関は、国会図書館を始め様々なものが用意されています。
それを駆使して、調査すると真実が見えて来ます。
素人でも、無料で使えるものも沢山あり、本書の中で紹介しています。
初心者でも、なんとかなりそうな感じがします。
さあ、調査の世界へ一歩踏み出してみましょう!
【2.本書のポイント】
自分たち自身で調べ、発表するということをやってみると、マスコミが伝えることについても、彼らがどうやって調べたのか、果たしてどこまで信用して良いのか、といったことがなんとなくわかってきます。市民による調査は、具体的な問題発見・問題解決が目的であり、自分たち自身の状況を知って、何が望ましいのか、何をする何をすべきかを考えるために行われます。厳密な「科学的」調査より、市民による調査の方が本当の意味で”有効”な場合が多い、ということです。専門家がちゃんとやればわざわざ市民が調査必要はない、と言う話ではないのです。”調査”という武器をフルに使って、自分たちの本当の意味での主権を回復していく調べたこと、考えたことを書く、ということを商売にしている人間でも、実は調べたこと、考えた事の10分の1も、いやおそらく100分の1も活字にしていません。残りの99%頭の中に雑然とした形に残ったものです。だからこそ、人の話を聞く、と言うことが調査の基本になるわけです。現場では、いくつかの図書データベースを合わせて検索する必要があると言うことです。私たちが新聞記事を読む場合、(1)その記事が何を情報源としているか、(2)その情報源はどういう意図でその情報を流しているのか、(3)記事対象と記者の距離はどのくらい近いか、について常に意識を払う必要があります。行政の主人は住民です。大きな顔をして行政に話を聞きにいきましょう。
メモの取り方で大事なことは、(1)考えながらメモすると言うこと、(2)あとで自分でわかるように書くということ、の2点です。聞き取りの成否は、聞く側がそのことについてあらかじめどのくらい知っているか、によります。大事な事は、より「一次情報」に近い情報得るように心がける、と言うことです。文献を読むと「なるほど」と思い、それを元に現場に出かけて話を聞くと、さらにそれをもとに新たな文献を探して読むとまた発見がある。そしてまた現場に出かけていき、解決策を模索する。もどかしく、回り道のようですが、私たちが自分たちの社会を知り、問題を発見し、解決していくプロセスとは、そうしたものだと思います。ホルダーに整理する、というのはいくつかの意味があります。第一に、集めてきた資料、データ全体を、仮に分類する、ということです。第二に、ホルダーに整理すると言う事は、集めてきた資料、データの全体像を把握し直すということです。第三に、いつでもその資料、データを取り出して理解する体制を作ると言うことです。「カード」の考え方は大事ですし、これに類する事は、必ず行う必要があります。「カードの考え方」とは、《全体の情報を、圧縮し、一覧する》、ということです。往々にして既成概念は、ものごとをちゃんと見るための障害になることがあります。自分の言葉でキーワードを作り出すと言うのは、調べたことを最大限に生かして、そこからボトムアップで議論していくために重要なことです。データとの対話=キーワード化と調査とは、往復の関係にあります。「情報と言うものはピンポイント的に存在するのではなく、別の情報と響き合うことで価値をおびてくる」(佐野眞一)
より説得力を持ったまとめ方をすると言うのは、なかなか大変な作業ですが、練習をすると確実にうまくなります。私がここで言う「論文」とは理論的に展開された文章のことです。議論の根拠がはっきりしており、道筋が立っている文章です。論文を書くときにもっとも大事なのは、構成(アウトライン)を作ることです。論文の場合、守らなければならないルールは、序論ー本論ー結論、と言う構成です。
アウトラインを作ると言う作業は、データを集めて、キーワード化して、それからKJ法などでアウトラインを作る、といったように、何段階も経なければならないものです。それどころか、いったんアウトラインを作ってみると、自分の議論に欠けていたものに気づき、またデータ集めを行う、といったこともしばしば出てきます。やはり往復作業なのです。
出典の書き方雑誌記事・論文の場合:著者名、発行年、論文タイトル、雑誌名、巻号、ページ本の中の一章の場合:著者名、発行年、論文タイトル、編集者名、本のタイトル、出版社、ページ このいずれも抜かしてはいけません。報告で説得力を増すにはどうすればよいでしょうか。まず第一に、データをちゃんと出すということがあります。第二に、多くのことを詰め込まないことです。伝えるには伝えるだけの工夫が必要です。自分の伝え方で相手わかってくれるのか、自分の伝え方わかりやすいか、を考えて、発表の仕方を工夫することが必要です。調査は調査を呼び、調査は活動を呼びます。大学の資源(図書館、情報アクセス、研究者)を使ってもらい、市民が調査するのをサポートする、と言うような大学が出てきてほしいと思います。大学の研究者にまかせきりではなくて、市民も一緒に調査を担う、と言う形が望ましいでしょう。「調査」が、私たち自身が社会の組み立て直していくときのツールとしてもっと生かせるようになってほしいと思いますし、そのためのしくみづくりをしていく必要があると思います。
【目次】1 市民が調査をするということ2 資料・文献調査3 フィールドワーク4 まとめかたとプレゼンテーション5 最後にー市民調査を組織しよう
【3.本書の感想】
発行が、少し前の本になるため、データやソフトなど、時代を感じさせる記述がありますが、調査初心者にはとても良い本だと思います。
著者は市民がもっと調べるべきだし、そのために、様々な機関が調べる手伝いをするべきだと主張しています。
そうすれば、もっと社会が良くなっていきます。
今は、インターネットや図書館等、簡単に知らないことを調べる環境が整っています。
そんなめぐめれた環境にいますので、調べまくりましょう!
その前に、問題は何か?課題は何か?ということをよく考えないといけませんね。(笑)
是非、この本を読んでみてください!
冒頭で紹介しました「読みたいことを、書けばいい。」は下記をご参考下さい。
最後まで、お付き合い頂きましてありがとうございました。