伝説の雀鬼からこんな言葉が出てくるのか!と驚きました。
【1.本書の紹介】
最近、麻雀をされましたか?
たいていの人は、麻雀をする機会自体がほぼ0なのではないでしょうか。
我々の学生時代はまだ、ぎりぎり麻雀が盛んな時代でした。
私はあまり上手ではないので、人数が足りない時は呼ばれて参加していました。(笑)
点数計算が出来ない素人でも、麻雀は勝つ事がありましたので、結構楽しかったです。
著者の桜井章一さんは、当時から、麻雀を打つ人であれば知らない人はいないというくらい、超有名人でした。
麻雀の裏打ち業をやっていた頃の話は、漫画にもなり、沢山の読者を魅了していました。
我々の頃は雀荘には自動卓があり、ボタン1つで牌を並べてくれていましたが、著者が活躍した時代はまだ手積みの時代で、手品師がやるような手際の良さで牌を仕込んでいたようです。
もし、見つかれば、指の1本や2本どころで済まされない、とても緊迫した中で代打ちという、今では考えられない場面で、まさに生きるか死ぬかの勝負に見を置いておられました。
麻雀を通じて、生命の極限状態で勝負をしていた著者だからこそ、他の人にはない、独自に発達した神経や感覚があったのではないかと思います。
その結果、我々では感じ取ることの出来ない、ちょっとした変化や動きにも神経が反応するようになったのだと思います。
この本の中では、その卓越した感覚と経験から思う、人間としての生き方や人材育成について自論を展開されています。
【2.本書のポイント】
ダーウィンの進化論では生物は良い方向へと進化していくらしいが、我々人間は、どう見ても後退している。できるだけ自然と触れ合う機会をつくり、五感を刺激する。そんな努力が必要だと思う。
かつて私が、裏麻雀の世界で代打ちをしていた頃、大一番の前になると飲まず食わず、さらに寝ずという生活を繰り返していた。体が自然とそうなったのだ。今、考えると、本能的に体が反応していたのだと思う。自分を覚醒させるために、五感を冴えさせるために。
本来人間は、自然の摂理に則り、あるがままに生きていかなければならないのに、多くの人がそれとは反対の生き方をしている。
「違和感を感じる」ということ、それをどう感じ取っているのかということを言葉にするのはかなり難しい。そこには多分に、感覚的なものが作用するからだ。一部を見るのではなく全体を見つつ、過去の動きの残像と照らし合わせて違和感をあぶり出す。それにはまず、全体を捉える視力を磨かなければならない。
私が考える勝負の三原則は、「臨機応変」「適材適所」「柔軟性」だ。
現代に鬱病の人が多いのは、結果至上主義の能力社会の弊害なのだ。
本来、家族とは社会の構成の基礎をなす共同体で、人間一人ひとりの帰るべき場所、居心地のよい場所であったはず
人はまず、自分を大切にしなければいけない。その上でかけがえのない大切なものをいくつか持ってば、間違いを犯さないと思う。
大切なものはいくつあってもいいと思う。でも、その中に「人」も入れておくことを忘れてはいけない。「大切な人がいる」というのは、人生において何より大切なことなのだ。
例えば自分の大切な子供を、大事に大事に育てていく。そういう気持ちを持つこと、「大切にする」ということをずっと続けていれば、その間、人間は救われると思う。
特に上に立つ人間は、周りの人間の事も考えなければならない。自分の仕事だけやりやすくなってもしょうがないのだ。
何もないところから何かを生み出したり、何か楽しみを見つけながら遊ぶ。いくつになっても、私はそうやって遊ぶことがたまらなく好きなのだ。
雀鬼流というのは、一生ずっと追いかけても決して追いつかないものを追っている。完成しないであろうものをつくり続けているのが雀鬼流なのだ。
夢や希望よりも、私にはその時々の環境の中でやらざるを得ないことがあった。その中で自問自答を繰り返しながらやるべきことはやる、やりたいことはやる。そんな生き方をしてきた。
能力社会では、「できた子が偉い」とされる。でも私は、「ないながらも、できっこないことに挑み、頑張っている子のほうがもっといい」と考えている。
結果より、その過程、努力を認めてあげたいという気持ちがある。そうすることで、できない子も、何かやってみることがいかに大切かわかってくる。
知識や情報をあてにするのではなく、インスピレーションを大切にして自然体で生きる。究極の格好良さとは「素のままの自分で生きる」ことだと私は思っている。
躾だとか、隣近所に迷惑だからといって、必要以上に抑え込むのは子供にとってマイナスでしかない。
媚を売ったり、イエスマンになるのではなく、その人の奥底にある明るい部分を照らしてやるのだ。もしかしたら、それを繰り返すことで、上司も自分が明るかった頃のことを思い出し、明るさを取り戻すかもしれない。陰湿なもの、暗いものには明るさで対抗するのが最良の策だと思う
目次
はじめに
第一章 「癖」は心を丸裸にする
第二章 体の動きを見ればすべてわかる
第三章 人間の本質を見抜く方法
第四章 人間を見透す技術
第五章 立ち居振る舞いからタイプを見極める
【3.本書の感想】
意外と普通と言っては失礼ですが、人生を達観した方がおっしゃるような事が書かれています。
そして、意外と物知りなのに驚きました。
イメージは、朝から晩まで雀荘にいて、情報源と言えば週刊誌やスポーツ新聞だと思っていましたので、ダーウインという名詞が出た時、びっくりしました。(笑)
少し期待していた、世の中の常識から外れたその道独自の世界観が語られるかと思いましたが、至ってまともで、著者名を伏せれば、教育やスポーツの指導者かと思うくらい普通に納得できる自論でした。
こちらは、10年ぶりくらいでしょうか、最近会社の人と麻雀をした時の写真です。
この手は、国士無双という役満で、もし上がれば、逆転サヨナラ満塁ホームラン位の点数がもらえる役(あがり手)です。
こういのがあったなーとなんとなく並べてみたただけで、恥ずかしながらこの役満の名前も忘れていました。
国士だ!と言われてあっそうか!と嬉しくて、思わず記念に写真を撮ってしまいました。(笑)
ゲーム中は、ついていくのに必死でしたが、久しぶりにやった割には、とても楽しい時間を過ごせました。
麻雀は頭を使い、手先も使うので、ボケ対策に良いらしいです。
私も、老人ホームに入ったら、朝から晩まで麻雀を打って、ボケ防止に励みたいと思います。(笑)
一方、雀鬼会のルールの1つとして、麻雀牌をツモッてから2秒で捨てるというものがあります。
これは、考えるのではなく、感じるという感覚を磨く為のルールです。
プロの将棋の世界でも、たいていは見た瞬間に打つ手は決まっているそうです。
打つまでに長時間かかっているように見えますが、たいてい2つ、3つあってベストな手を確かめるのに時間がかかっているのです。
見た瞬間にひらめくのは、今までの経験を通じて潜在意識の中に蓄積されたデータから、最適な解が直感を伴って出てくるからだと言われています。
この考えは、瞬時の判断に命を賭けて戦うブルース・リーの名言「考えるな、感じろ!」にも繋がりますね。
若かりし頃のブルース・リーをご覧下さい。
「考えるな、感じろ」 1:11秒です
「燃えよドラゴン(1973年)」(Enter the Dragon)「Don't think! Feeeel! 」Bruce Lee
裏麻雀の世界という異次元の世界に身を置くことで、発達した研ぎ澄まされた神経を持つ著者ですが、やはり突き抜けた先は人間、どんな業界でも考え方は同じなのかなと思いました。
例えば、野球界の野村監督も結果よりも過程を重んじると言う点で著者と同じ考えを主張されていました。
この本は、生死の間を歩いて来た著者が、人間として生物として我々はどう生きていくべきなのかを教えてくれる本です。
学生の頃、著者が登場する漫画を読んで、単に「すごいなー」と面白がっていた当時を懐かしく感じました。
この方もニッチな世界でトップに登り詰めた人です。
考え方、言葉に深みがあります。
是非、ご覧下さい!
人を見抜く技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「人間観察力」 (講談社+α新書)
人材育成では野村監督と考えが同じです。
こちらもニッチな世界でトップに登り詰めた人です。
手品師は練習に次ぐ練習と心理学が大事だと言っています。
たばこをやめたい方こちらをご参考下さい!
最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!