京都のリーマンメモリーズ

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【書評】ビジュアルシンカーの脳 テンプル・グランディン NHK出版

今週のお題「こぼしたもの」
こぼしたものと言えば、ついついこぼしてしまうグチですね。世の中ってやつは、なんでこんなにわかってくれないのか?なんて思ったことはありませんでしょうか。自分の主張を強く押しすぎると、理解し合うことは難しいかもしれません。そこは、お互いに歩み寄ることが大切ですね。最近は、きちんと言葉で説明することを重要視していますが、実は、言葉での理解以外に、視覚での理解も必要なんだそうです。視覚で考えると、別の視覚が浮かび上がり新たな発見に結びつくという、そんな人が世の中を変えてきたんだよということを教えてくれるすんごい本を紹介します。

【1.本書の紹介】

私たちは、学校へ通い文字をを習い、言語を学び、文字や言葉を通した意思疎通を学んできました。

しかし、言語では、視覚に比べて正確に伝わる部分が少ないのが実態です。

もともと、動物である我々の先祖は、文字を持っていませんでしたので、見た目で判断をして生き抜いてきました。

文字による思考では、文字が頭に残り、視覚よりもその文字の意味を考えてしまいます。
 
アインシュタイン、イーロン・マスク、スピルバーグも視覚思考でひらめきを得ていたそうです。

さて、私たちが視覚思考考えるには、どのようにしたらよいのでしょうか?
 
また、私たちは視覚思考になれるのでしょうか?

【2.本書のポイント】

グーグルの検索画像をスクロールしたり、インスタグラムやTikTokのショートムービーを見たりしているように、画像で考える。これが視覚思考(ビジュアルシンキング)だ。
 
子供は、5歳になるまでは視覚的短期記憶に大きく依存していることがわかった。6歳から10歳までの間に、だんだん言語で処理するようになり、10歳以降は大人と同様に言語的短期記憶に依存する。脳の言語システムと視覚システムが発達するにつれ、言語思考に向かうのだ。
 
イーロンマスクは、独学でプログラミングを学び、12歳の時に初めて作成したビデオゲームを500ドルで売った。学校と近所の図書館の本を読み尽くしてしまい、百科事典を2セット読破したと言う。何でも写真で撮ったように詳細に記憶し、それを人に伝えようとする性分のせいで「人の話の受け売り屋」、典型的な知ったかぶりと思われ、友達ができず、無視された。
 
ビルゲイツ、スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグ、イーロン・マスクは、みな大学や大学院を中退している。高度な事実を市場で試し、応用したくて、まっすぐシリコンバレーに向かった。
 
アメリカが製造業では、他の国に遅れをとっているのは、なぜだろう。それは、技術の基本的なスキルが失われているせいであり、その原因は3つある。製造の専門的な技術者が求人市場から去っても、代わりの人が入ってこないこと。安価な大量生産品だけでなく、ハイテク製品の製造も外国の会社に頼っていること。技術職に携わるのに、最適な人々が教育制度でふるい落とされていること。
 
設計者は製図用紙に線を引き、頭に思い浮かべたと図と置き換え、ここから頭の別の場所で似たような図が生まれ、最後に3次元の金属製のエンジンになる。これは主に設計者の非言語的思考と非言語的推論に基づいて行われ、設計者は図で考える。
 
いつの時代にも、機械を刷新し、改良してきた素晴らしい歴史がある。職人、設計士、発明家、技術やー「視覚的な非言語的プロセスによって」頭の中の絵で考える人々ーがテクノロジーの発展に貢献してきたのだ。
 
発明を思いつき、実行したのは、ずば抜けた視覚スキルを持ち、物が動く仕組みを頭の中で見ることができる。物体視覚思考者だ。物体視覚思考タイプの技術者は機械のセンスがあり、実際に手を使って作業し、世の中を変えてきた。
 
早くから視覚思考者を見つけ出し、才能や技術を伸ばし、得意で有意義な仕事につけるよう奨励してこなかったこと、様々な思考を統合して社会に役立ててこなかったことのツケが回ってきている。
 
平均すると、大卒者の方が高卒者よりも所得が高いのは確実だが、例外は山ほどある。給料が高くて、4年生大学の学位が必要では無い職種には、技術職、コンピュータープログラマー、実験助手、デザイナー、動画編集者などがある。
 
創造的なアイディアの誕生は前頭前野で始まる。それは後頭部(頭頂、側頭、後頭)の連合野全体にわたる広範なネットワークの特定部位を活性化することが引き金になる。
 
画家でも、音楽家でも、文学者でも、様々なタイプの創作者は、脳が目覚めて、くつろいでいる状態の時にアイディアを生み出す。
 
かつてオタクだとか、頭でっかちと言われていた子が、大人になって未来の設計者になる。
 
天才は脳の多様性と関わりがあるのか。私の答えは、多くの場合イエス。おそらく視覚思考の天才も数多くいるだろう。
 
動物は、私たちに気持ちを伝える言葉を持っていないかもしれないが、意識を持っていると私は信じる。ある意味、動物は視覚思考者と言えるだろう。
 
積み木やレゴ、工具、精密に描かれた絵に興味をもつ子ども、何かを分解して組み立て直すのが好きな子どもは、視覚思考タイプだ。こういう子供の存在に気づいて、育成し、投資すれば、大人になって橋や飛行機、原子炉を作り、修理する人になる。子供たちにもっと視覚中心の教育をしなければ、才能を無駄にしてしまう。
 
能力を伸ばす大きな要因が2つあることもわかった。体験と助言者だ。
 
将来の設計士や技術者、芸術家を見つけ、育てるには、どうすればいいのだろう。第一に、子供たちをよく見て、スキルを認め、さまざまな学び方を支援すること。何よりも私が目指すのは、子どもの手助けをすることだ。ここから始めれば、できないことは何もない。
 
【目次】
はじめに 「視覚思考」とは何か
第1章 視覚思考者の世界――頭の中の「絵」で考える人びと
第2章 ふるい落とされる子どもたち――テストではわからない才能
第3章 優れた技術者はどこに?――視覚思考を社会に活かす
第4章 補い合う脳――コラボレーションから生まれる独創性
第5章 天才と脳の多様性――視覚思考と特異な才能が結びつくとき
第6章 視覚思考で災害を防ぐ――インフラ管理から飛行機事故の防止まで
第7章 動物も思考する――視覚思考との共通点
おわりに 視覚思考者の能力を伸ばすために

【3.本書の感想】

この本には思考タイプ判断テストという、簡単なテストが付いています。

 

視覚思考タイプ、言語思考タイプ、その混合タイプの3つに分かれます。

 

普通は、混合タイプでどちらかに偏るようです。

 

自分は、視覚思考タイプに偏っていました。

 

文字ばかりのブログを書きながら言うのもなんですが、文字を読むのは得意ではなかったので、その理由がわかった気がしました。

 

大人になると言語思考が正しいという風潮がありますが、実は、視覚思考であっても問題ないということは、嬉しく思いました。

 

自分を知るというのはとても大切なことですね。

 

試験では言語思考の人が有利になるようなシステムになっていますので、どうしても視覚思考の人は置き去りになっています。

 

しかし、社会には両方大切です。

 

例えば、そろばんは、そろばんを練習しているうちに頭の中にそろばんが入り込み、視覚で計算ができるようになります。

 

これも視覚思考の1つだと思います。

 

今自分がしている表現では、自分の想いを表現しきれていないと感じている方や、その親御さん、教育現場にいる方にはとても参考になる本です。

 

文字を読むのが苦手と言う方は、一度この本を読んで頂いて、自分の可能性を確かめてみてください。

 

是非、ご覧ください!

 

ビジュアル・シンカーの脳

【4.関連書籍の紹介】

見た目通りに理解する事って意外と難しいことがわかります。

www.fukuikeita21.com

すべてを頭の中に入れるとパンクします。いい方法がわかります。

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最後までのお付き合いありがとうございました!