京都のリーマンメモリーズ

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【書評】教養を磨く 田坂広志 光文社新書

私がブログを書く理由は、このブログを読んでくれている人がいるからです。(感謝)そして、何よりもブログを書くことで、自分の勉強になっているからです。今回は、ただの勉強ではなく、本物の教養とは何かを教えてくれるすんごい本を紹介します。(笑)

【1.本書の紹介】

ビジネスマンにはおなじみ、田坂広志先生の本です。

教養があるといえば、知識が豊富であるというイメージがありました。

しかし、知識が豊富であるというのは、AIの進化により、以前ほど重視されなくなってきています。

いわゆる記憶力勝負は、今後はあまり重要ではなくなるため、日本式の詰め込み教育を変えていくべきだという声が上がっています。

さて、世の中が変化している今、真の教養とは、どのようにすれば身に付くのでしょうか?

【2.本書のポイント】

真の「教養」とは、本来、多くの本を読み、様々な知識を学ぶことではなく、そうした読書と知識を通じて、「人間としての生き方」を学び、実践することである。
 
「書物を通じて学んだ、様々な専門分野の、該博な知識」に大きな「3つの変化が起きている。
第1は、「該博の知識」に関する時代の変化である。
第2は、「書物を通じて」に関する時代の変化である。
第3は、「様々な専門分野」に関する時代の変化である。
 
「3つの変化」が、これから、「教養」のあり方に、次の「3つの深化」を求めるようになると、筆者は、考えている。
 
第1の深化は、「専門の知」から「生態系の知」への深化である。
第2の深化は、「言語の知」から「体験の知」への深化である。
第3の深化は、「理論の知」から「物語の知」への深化である。
 
「かばん持ち」とは、決して「雑用係」ではない。それは、一流の人物から「多重人格のマネジメント」を学ぶ、最高の機会に他ならない。古来、言われる「師匠とは、同じ部屋の空気を吸え」とは、この機微を述べた言葉であろう。
 
仏教者の木野一義師は、若き日に、「明日死ぬ、明日死ぬ、明日、自分が死ぬ」と思い定め、その日1日を精一杯に生き切ると言う修行をした。もし、我々が、本気で、この「明日死ぬ」の修行をするならば、日々の風景が変わる、そして、人生が変わる。
 
人生の苦労は、大いなる何かが、我々を育てようとして与えるもの。その成長を通じ、素晴らしき何かをが成し遂げさせようとして与えるもの。
 
「この商品で、世の中の多くの人を喜ばせたい」
「このサービスで、困っている人を助けたい」
その深い思いが、経営者の心の中にあり、拙い言葉でも良い、その思いを真摯に、熱を込め、社員に語り続けるならば、その現場には、おのずと「熱気」が生まれてくる。
 
言葉を語るとき、大切なのは、何を語るかではない。誰が語るかである。
 
人間、自分に本当の自信がなければ、謙虚になれないのですよ。
人間、本当の強さを身に付けていないと、感謝できないのですよ。
 
サッカーの世界でも、優れた運動神経を持ち、難しい体勢から、見事なゴールを決める技術を持った選手でも、本当に一流のプロとしての真価が問われるのは、炎天下、前半後半90分、延長戦30分を走り抜き、体力の限界において、ラストチャンスにパスされた難しい球を、確実にゴールに切り込めるか否かである。
 
実は、我々は、精神の基礎体力を鍛え続けるのならば、60歳を超えても、まだまだ素晴らしい可能性を開花させていくことができるのである。ただし、そのために求められるのは、1つの覚悟。年齢による「自己限定」をしない。
 
「科学技術」も、また、物質的豊かさが人々を幸福にすると言う思い込みによって、宗教倫理の重要性に目を向けることを怠ってきた。こうした過信と思い込みの代償を、我々人類は、しばし支払うことになるだろう。
 
「メメント・モリ」(死を想え)、そのとき、心の奥深くから、透明な感性が現れ、想像を超えた才能が開花する。
 
話術であれ、文章であれ、音楽であれ、絵画であれ、一流のプロフェッショナルの最高度の技術には、共通するものがあることに気がつく。すなわち、それらの技術は、いずれも、「間」や「沈黙」、「行間」や「文末」、「無音」や「白」といったもの、東洋思想的に述べるならば、「無」や「空」と呼ぶべきものに、深い意味を持たせているのである。
 
「無」や「空」と言うものが持つ、不思議な力。それを、いかに自らの力とするか。まずは、日々、自己の内面を見つめる「沈黙」の時間を持つこと。その時、我々の精神の進化が始まる。
 
マネタリー経済において、流通するのは「貨幣資本」であるが、ボランタリー経済において、流通するのは、知識資本、関係資本、信頼資本、評判資本、文化資本などの「目に見えない資本」である。
 
我々は、人生の「長さ」は決められない。しかし、人生の「密度」は決められる。
 
マネジメントとは、究極、人間の心に処する営みであり、人間の心の世界は、常に、我々の想像を超えた深みをもっているからである。
 
この人生で、自分が成し遂げる仕事は、実は、自分が成し遂げる仕事ではない。大いなる何かが、自分と言う存在を通じて、世の中のために成し遂げる仕事である。その覚悟を心に定める時、不思議なほど、様々なアイディア、発想が降りてくる.。そして、その覚悟こそが、本来、「志」や「使命感」の根底にあるべきものに他ならない。
 
もし我々が、その覚悟を定め、自分の人生を本当に愛することができたならば、人生を2つの価値に分ける事は、幸運と不運、成功と失敗といった言葉も、自然に消えていく。そして、そのとき、目の前の人生の一瞬一瞬が、静かに輝き始める。
 
人生で起こること、すべて良きこと。
 
【目次】
はじめに 二一世紀に求められる「新たな教養」とは何か
第一部 哲学の究極の問い
第二部 科学と宗教の対立を超えて
第三部 「戦略的反射神経」の時代
第四部 「フォース」を使う技法
第五部 「ポジティビズム」の時代
第六部 「神の技術」がもたらすもの
第七部 思想を紡ぎ出す読書

【3.本書の感想】

本書は文庫本ながら、300ページを超えるボリュームで読み応えがありました。

 

いくら田坂先生といえども、毎回毎回すべて新しい事を言われているわけではないので、繰り返し言われている部分もあり、再度その重要性を認識しました。

 

再認識したことの1つは、人生で起こることは、すべて良いことであり、それは、自分を成長させるために最適なタイミングで出てくるということ。

 

もう1つは、死を意識することで、毎日が輝くということ。

 

ここは、しっかり胸に刻んでおきたいと思いました。

 

自分が年齢とともに成長していくことは、人生の充実感につながります。

 

その為には、自分から新しいことに挑むか、自分に与えられた難題を解決していくことが必要です。

 

人間は、自分で年齢制限をしなければ、60才を過ぎても成長します。

 

死ぬまで現役。

 

人生100年時代に向けて意識を変えて行きましょう!

 

人生を充実させたい方、マネジメントに関係する方にはとても参考になります。

 

是非、読んでみてください! 

 

教養を磨く 

【4.関連書籍の紹介】

死ぬのは明日ではなく、1年後で考えてみたい方はこちらをどうぞ。

www.fukuikeita21.com

たくさんある田坂広志さんの本から、そのポイントを知りたい方はこちらをどうぞ!

 

田坂広志ベスト

 

最後までのお付き合いありがとうございました!