京都のリーマンメモリーズ

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【書評】日本進化論  落合陽一 SB 新書

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【1.本書の紹介】

はじめに、著者と小泉進次郎氏との対談が、新しい日本の幕開けを期待させます。

 

進次郎氏は、現在の日本経済停滞の原因の1つは、ITに弱い政治家が原因だと述べています。

 

そんな切り口があったのかと嬉しくなりました。

 

この本では、日本の各課題について、それぞれ様々なグループでディスカッションした内容をベースに、落合さんが思うところ、解決の提案をしているものになります。

 

ですので、落合さん得意のミラクル的発想はありません。(笑)

 

課題について真面目に考えています。

 

日本には、少子高齢化を始めとして様々な課題があります。

 

少子高齢化に関連したテーマについて、課題解決を考えていこうという内容になっています。

 

現代社会において話題の課題をコンパクトにまとめた一冊です。

 

【2.本書のポイント】

テクノロジーを活用すれば、「どこでも学べて、どこでも働ける」状況を作り出すことができます。すると、今度は地方の方が有利なケースも次々に生まれてくる。


20世紀までの社会は「標準化」によって回されてきましたが、今後は多様性を前提にした「パラメーター化」、つまり個々人にとって最適な形の解決策を適用することで、社会を回していかなければならないでしょう。


大きな問題点として、国家の一般会計約100兆円のうち、人材開発や R & D を含む普通の国家予算に使える「真水」が少ない点が挙げられます。


社会保障費の内訳を見てみると、年金が60兆円弱、医療費が40兆円弱あり、医療費の2/3近くはシニア層に使われています。

 

我が国のリソース投下には二つの大きな課題があります。1つは、シニア層と過去へのリソース投資があまりにも重く、未来に投資できていない点。2つ目は、インフラ投資があまりにも重くて、都市集中型の未来しか描けていない点です。


終身雇用・年功序列的な働き方は、実はそれほど古い歴史を持つわけではありません。20世紀以降、先進諸国の間に広がった工業化社会に、高度成長期の日本が適応する形で取り込んだ、たかだか半世紀程度の間に生まれた制度しかないのです。


限界費用」とは経済学の用語で、財やサービスを生産する時、ある生産量からさらに1単位多く生産するのに伴う追加的な費用のことをです。


パソコンやスマホで、データやアプリを1単位多く生産する時にかかる追加的な費用は実質ゼロです。


限界費用の低下があらゆるビジネスに影響を与えるということは、これからの働き方を考えていく上で、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。


組織の論理にとらわれずに、コストを最小化し利潤が最大化されるよう、個人の判断で動き回るべし

 

高齢社会の問題は「ドライバー監視技術」、「自動運転技術」、「コンパクトシティ化」で解決できる


子育ての解決策、1つ目は手が空いている人材に子供の面倒を見てもらえる仕組みを作る。これにはインターネットサービスの活用が有効でしょう。
2つ目は、隣人達と共同で子育てに携われる地域コミュニティの再構築です。機械による自動化が難しい子育てにおいては、人口に占める割合の多い高齢層に貢献してもらえる仕組み作りが重要になるでしょう。


困っている人と、困っている人を助けたいと思っている人は、それぞれ十分な数が存在していることが明らかになっています。


「子育ては親の仕事」ではありません。地域社会全体で子育てできる。デジタルベースの新しい町内会的コミュニティを作っていくことが必要になるのです。


「人生100年時代」、「自ら問題を設定し、その解決を考えていく」という方向への教育のアップデートが求められていると、僕は考えています。


コミュニケーションツールの発展で学び方が多様化する 


テストで良い点を取ったり、かけっこで一等賞になることに価値があると教え込むのが、高校生までの教育です。それに対して、画一的な価値観をいに介さず、評価基準を自分で作り、自分で「美しい」と認めるものを追求するのがアカデミズムの世界です。


2025年以降の15年間で増加する2~3ポイント程度の負担を、労働力の拡充やテクノロジーの配備でいかに担うか、ここさえ解決できれば、少なくとも現状維持は可能ということになります。


これからの20年では、医療と介護、この2つでコストを抑えるための政策が重要になってくると考えられます。

 

税収で財政を支えるだけでなく、政府系投資機関を通じて、国と企業がイノベーションの成果を分け合うという発想が重要になると思います。

 

デンマークでは主要産業を流通・小売業へと転換し始めています。ゼロから物を作る産業ではなく、既存の製品に価値を付与する産業へとシフトしつつあるのです。


デンマークは EU で最も電子化が進んだ国であり、医療、福祉、金融、教育などの IT 技術を介した連携が、国家戦略によって推進されています。


日本の社会保障費の問題の本当の根底にあるもの。それは「シルバー民主主義」であると、僕は考えています。現在の日本では、六十歳以上が有権者全体の約4割を占めるという歪な構造が生まれています。


スポーツのもたらす様々な効用が、より多角的に受け止められるようになってきています。その中でも特に高く評価されているのが「ストレスの解消」「コミュニティの形成」「予防医学的効果」の3点です。


困った時に頼れる人がいるという「つながり」の感覚が、幸福感と密接に関連していることを指摘しています。


運動の習慣と歩行能力の間には、直接的な関連性があることも分かっています。


日本人が運動しない大きな理由は、「忙しい」と「場所がない」の2点に集約されます。最も効果的なのは、所属する組織が運動スポーツのための時間を強制的に確保することでしょう。

 

【目次】
序章テクノロジーと日本の課題を探る
第1章「働く」ことへの価値観を変えよう
第2章超高齢社会をテクノロジーで解決する
第3章孤立化した子育てから脱却するために
第4章今の教育は、生きていくために大事なことを教えているか?
第5章本当に、日本の財源は足りないのか
第6章人生100年時代の「スポーツ」の役割とは?

【3.本書の感想】

デンマークの例を見ても、国家の生産性向上には、IT化が必須です。

 

日本においてIT化が進まない理由は、有権者の4割が60歳以上で、その人達のご機嫌を取る政治家達は、ITへの取り組みを後回しにしているからです。

 

若者が政治に入って来ないと明るい未来はないと言っています。

 

それなのに、政治家が若者を選挙に行かせる策を真面目に考えないのは、自分たちの首が危なくなるからです。

 

日本国よりも、自分の当選を優先させる議員の集まりが、現代日本の国会の姿です。


そんな中であっても、もっと前向きに解決策を提示しようというのが、今回のテーマとなっています。

 

確かに、提言通りやれば、解決出来ることもあると思いますが、専門家達との議論をベースにしているため、あまり突拍子的なところはなく、伝統的・閉鎖的な組織ではたしかに珍しいことかも知れませんが、民間企業であれば、普通に考えられる範囲の解もあります。


落合さん1人が考えて、書き下ろしたたものであれば、もっと飛んだ発想があって読んでいて面白いのですが、今回はそれぞれ専門の人が入って検討しているところもあり、現実的というか、真面目というか、表現の自由を奪われた内容となった感がありました。(笑)

 

飛んだ発想はあまりないですが、社会の変化を的確にとらえています。

 

どこでも学べてどこでも働ける」という主張の通り、モノを学ぶのに物理的な距離が障害でなくなってきました。

 

民間企業でもオンライン講座は盛んになりつつあります。

 

例えば スマホで学べるスタディング  こちらで、私は、ビジネス実務法務検定、3級と2級を取得できました。

 

資格試験のオンライン講座【資格スクエア】 こちらで、私は、今はこちらの講座には無くなってしましましたが、知的財産管理検定3級、2級を取得できました。(スタディングにはこの講座は今もあります)

 

確かに、実感として、スマホさえあれば、圧倒的低価格で学べる環境になっています。

 

スキマ時間を活用できますので、学習方法が専門予備校へ通うしか無かった時代に比べると、環境が随分変わったなーと思いました。

 

たまにキャンペーンで、合格するとキャッシュバックなどがありますので、めちゃくちゃお得に学習出来ます。

  

話は、少しそれましたが、ここに上げられているテーマは、現代の論点が集約されていると思います。

 

この本を読めば、お得意先に行って、最近の話題とその解決策についてさり気なく「知ったかぶり」が出来るようになります。(笑)

 

特に、今回の論点に関するデータを見たことがない方は、現代の日本人に必見のデータが複数掲載されていますので、一度ご覧下さい。

 

日本進化論 (SB新書)

 

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最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!

【4.著者より】

落合陽一さんから、ツィッターでリツイートして頂きました!

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落合さんありがとうございました!