京都のリーマンメモリーズ

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【書評】これ、いったいどうやったら売れるんですか?  永井孝尚 SB新書

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【1.本書の紹介】

表紙(ついでに裏表紙まで)に広末涼子が載っていましたが、本書とは全く関係がありませんでした。(笑)
 
この本は、マーケティングの基本用語を事例を用いながら分かりやすく紹介した娯楽マーケティングの入門書です。
 
マーケティングに興味ない人にとっても、読み物としても面白く仕上がっています。
 
腕時計業界の話、ベンツの話、冬の北海道でマンゴーを作る話、女性の太った財布の話、きゃりーぱみゅぱみゅの話、古本屋の話など、目次を見ているだけで非常に興味をそそられます。
 
きゃりーぱみゅぱみゅ」? 
 
きゃりーぱみゅぱみゅ」って発音出来ますか?
 
私は未だに出来ません。(笑)
 
将来は、早口言葉の1つになっているかもしれませんね。(笑)
 

【2.本書のポイント】

お客さんは、「自分が欲しいと望み、かつ、その商品しかない」と言う状況になって初めて本気でお金を出そうと考える。これがバリュープロポジションだ。バリュープロポジションとは、お客さんに提供する価値を決めたものだ。売る側はバリュープロポジションを考えることで、お客さんがお金を出す理由を作り出す必要がある。
 
市場がレッドオーシャンに陥って「オワコン」になってしまっても、腕時計市場からジョギング専用ウォッチや登山専用ウォッチが生まれたように、お客さんが気づいていないニーズは必ずある。それを見つけ出して、バリューポジションを考えだし、ブルーオーシャンにたどり着けば、モノは必ず売れるようになる。
 
どのお客さんに価値を提供するかを考え、正しいお客さんを選ぶ。そしてそのお客さんに常に期待を超える価値を提供し、裏切らない。その蓄積がブランドを作る。
 
商品開発の真の目的とは、商品を作ることではなく、商品を使うお客さんを作り出すことなのである。「企業の目的は、顧客の創造である」と言う、経済学者ドラッカーの有名な言葉がある。まさに商品開発では、企業本来の目的である顧客開発を考えるべきなのである。
 
商品開発を成功させるためには、お客さんを作り出すことが必要だ。そのためには最初にお客さんも気づかないニーズを捉えることが必要になる。
 
「お客さんのニーズに応える」という商品開発の目的を忘れ、手段に過ぎない商品開発が目的にすり変わっている。こんな商品はお客さんにとって買う理由がない。だから失敗することが多い。
 
プロダクトアウトに陥らないようにするための2つの魔法の言葉がある。「そもそも、お客さんて誰だっけ?」「これってお客さんにとって、何がいいの?」
 
マーケティングではブレイクは待つものではなく仕掛けるものだ。そしてブレイクを仕掛ける上で、キャズム理論はとても役立つ考え方である。重要なポイントは、最初の段階で、1部の熱狂的な人たちにターゲットを絞り込むことだ。決して拡げてはいけない。
 
5つの力では、市場関係者を「買い手」「売りて」「新規参入業者」「代替品」「同業者」の5つに分ける。そして彼らと自分の力関係をチェックし、どちらが強気に立てるかを分析する。ポイントは、相手にとって自分がどれくらい「オンリーワン」の状態かを見ることだ。
 
バリューポジションはお客さんに対してオンリーワンになること、ブルーオーシャン戦略は市場でオンリーワンの存在になることを目指すものだ。お客さんや市場に求められオンリーワンになることが、商売では最大の競争力となるのだ。
 
【目次】
第1章 腕時計をする人は少ないのになぜ時計腕時計のCMは増えているのか?
   「バリューポジション」と「ブルーオーシャン戦略」
 
第2章 人はベンツを買った後どうしてベンツの広告を見てしまうの
   「顧客」と「ブランド」
 
第3章 冬の北海道でマンゴーを育てる?
   「商品戦略」と「顧客開発」
 
第4章 あの行列のプリン屋が赤字の理由 
   「価格戦略」
 
第5章 なぜセブンの隣にセブンがあるのか?
   「チャンネル戦略」とランチェスター戦略」
 
第6章 女性の太った財布には、何が入っているのか
   「プロモーション戦略」と「マーケティングミックス(4P)」
 
第7章 きゃりーぱみゅぱみゅは、なぜブレイクしたのか?
   「イノベーター理論」と「キャズム理論」
 
第8章 古本屋が普通の本屋より儲かる理由
   「マイケル・ポーター5つの力」と「競争戦略」

【3.本書の感想】

 

中身はとても面白かったですが、ポイントを見るとわりとまじめな部分になってしました。(笑)

 
「企業の目的は顧客の創造である」と言うドラッカーの言葉、これに尽きると思います。
 
商品を作るのではなくてお客さんを作る
 
それがブルーオーシャンでありそしてオンリーワンの戦略につながると言うことだと思います。
 
これまでの日本企業を振り返ってみると、ライバルに負けない為に、ライバルに対しては非常に敏感に反応し、そしてお互いに切磋琢磨を繰り返して来ました。
 
ここで落とし穴にハマったのは、お客さんを置いたままで、ライバルに勝つ事のみに力を使ってしまった事です。
 
その最たる例が、かつてのボタンだらけのテレビリモコンにあると言われています。
 
日本企業は商品開発と言う点では非常に真面目に改善を積み重ね良いものを作っていく力は持っていますが、その上位概念の仕組みであるとかサービスであるとか、お客さんに新しい価値を提供すると言う所を考える力が弱いと思います。
 
その新しいサービスや新しい価値を常に考えているのが米国のシリコンバレーに代表されるスタートアップ企業です。
 
日本は島国なので材料を輸入し、それに付加価値を載せてモノを輸出する必要がある。
 
つまり、安くて良いモノを作ればよいという考えが染み付いて離れていません。
 
しかし時代が変わり、モノだけでなく、新しいサービスを提供するということを考えていくべき時代になりました。
 
ここで必要なのは商品を開発することではなく、顧客を開発することを徹底的に考えると言うことです。
 
マーケティングと言うのは、本来、とても楽しい仕事だと思います。
 
ただお客さんを作ると言うことを考える点については、死ぬほど考えないといけない仕事だと思います。
 
この本は、内容が非常に面白く、理解しやすくなっていますのでマーケティング入門をお探しの方、マーケティングをを大まかに理解したい人にはうってつけの本だと思います。
マーケティングと言う学問を読み物として娯楽のレベルまで優しく楽しく紹介した本です。
 
非常に良い本だと思いますので、ぜひご覧ください!

これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)

 

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これも1つのマーケティングですね。

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最後までお付き合いいただきましてありがとうございました!

【5.著者より】

著者の永井孝尚さんよりツイッターにコメントを頂くとともに、
リツイートといいねを頂きました!
 

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永井さんありがとうございました!