京都のリーマンメモリーズ

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【書評】サボるコツではありません 「働かない技術」 新井健一 日経プレミアシリーズ

f:id:bkeita:20200524141705j:plainこの題名を見て、「うまくサボる技術」が身につくぞ!と期待したヤツは、どこのどいつだぁい?

 
だよ!(笑)
 
この本は、残念ながら、上手なサボり方は教えてくれません。(笑)

【1.本書の紹介】

日本人、特に管理職は働きすぎるので、時間以内に仕事を終えて、いかに時間外に(残業で)働かない事ができるかという内容です。
 
どちらかと言うと、単に働きすぎる事よりも、もっとハードルが高い事を言っています。
 
日本は残業が多いと言われますが、著者はその原因を、職務給人材(ポストに求められる職務の範囲内で自ら働く)の導入が遅れているからだと主張しています。
 
日本では、職務の範囲が不明確なため、責任の所在が不明な状態が続いています。
 
だから、仕事ができそうな人には、仕事を振って、その人はいつまでも仕事が終わらず、残業になってします。
 
欧米のMBAなどの考え方が日本に入って来ていますが、日本の企業、中でも、役割給人材・課長に必要なものは「」だと言っています。
 
企業を経営していくには、データのみで判断するのではなく、日本の企業の強みを発揮するには「徳」という人間的魅力も必要だそうです。
 
仕事のスキルとはまた違う観点ですが、なかなか興味深い考察をされています。
 

【2.本書のポイント】 

労働基準監督所に寄せられるパワハラの相談件数は7万軒を超える。その理由のひとつは、職務給を取らない日本の人事管理によるものだと筆者は考える。
 
上司の多くは、モノゴトを判断しないで放置しておくリスクには無頓着だし、「リスクをゼロにするために、本当は何もしたくない」と腹の底では本気で考えている。この様な上司が一部で蔓延るのも、責任の所在を曖昧にしようとする日本人の働き方に原因がある。
 
職務給にある人事管理の課題は、日本型のそれに比べて人材配置が硬直的で、柔軟性に欠けるということだ。
今、日本が単純に職務級に飛びついたら、日本人や日本企業の強みは雲散霧消してしまうだろう。だが、一方で日本型人事管理の制度疲労も否めない。
 
人材育成に向き合おうとしない管理職がいる。
 
売り上げのためには、納期のためには、顧客のためにはと言って、平気で部下を使い倒そうする管理職がいる。
雇用管理改善の取り組みは、従業員の意欲・生産性向上や、業績向上・人材確保につながる
 
役割給人材は「職場のメンバーを育成し、働いてもらう」ことを第一義とし、職務給人材は「ポストに求められる職務の範囲内で自ら働く」ことを第一義とする。
 
役割給人材・課長の最大の仕事は「人材育成」である。したがって、課長は自分の時間をメンバーのために使わなければならない。
 
いまは企業人の「権利」や「自由」に目が行きがちだが、これからは個人として、自らの生涯キャリアを構想する「義務」と「自己責任」を背負わなければならない。
 
ビジネスシーンで語られるグローバルな価値観と言うのは、要は欧米企業を動かすエリート集団の価値観やものの考え方に過ぎないと言うことだ。では、果たしてその価値観で、働き方に端を発した日本企業の改革を推進できるだろうか。筆者は、それはできないし、してはいけないと考えるに至った。それでは、日本企業の強みはなくなってしまうし、日本の若い世代を知識労働者の格差、その底辺に追いやることになるからだ。
 
日本型の良い点は守りつつ、ハイブリット型を模索するのだが、その際新たな人事管理を構築し、支えるための必要条件が明らかになった。それは、役割給人材・課長が取り戻さなければならない価値観でもある。その価値観とは「徳」だ。全体にとっての「公正さ」を考えられたり、あの人にだったらついて行きたいと思わせる品性を養うことである。
 
管理職の仕事とは、部下の成長のために『贅沢の無駄時間』を作り出すことである
 
「徳とは、『人助けが、喜びである』と心底思えるよう、自らを癖づけすることだ」
新人にとっては「上司先輩から信頼されている」と思えることが、自尊心の向上につながる。そのためには上司や先輩も、新人に任せて、見守らなねばならないし、彼らの求めがあればいつでも力を貸せるようにしておかなければならない。
 
自尊感情が低い上司や先輩は、自らの感情を満たすのに、手いっぱいで、いわば無意識のうちに、後輩や新人から自尊心を育む機会を奪ってしまうのだ。
 
日本の組織において部下の立場では、やらないことを決めることができない。彼らの職務範囲が限定されておらず、ポストも固定されていないから、放っておけば仕事は増えるばかりだろう。
 
決算書を良くするために、職場でやるべきこと、やるべきでないこと」を大枠で掴んでおき、日常業務の判断基準とする、これが働き改革にとって必要なのである。
 
あるべき状態を今の職場に見出すことはできないのだ。だからこそ、あるべき状態にかかる情報はすぐに見出さなければならない。そういう意味でも、内向きな管理職はいらないのだ。
 
これからAIと人類が仕事を分け合う時代、徳の価値は上がる一方で、決して下がる事は無いはずだ。
 
【目次】
プロローグ 「働かない」のにはスキルと覚悟が必要だ
第1章 なぜ「働かない技術」が必要か
第2章 ガラパゴス化する職場
第3章 ダラダラ職場が生まれる理由
第4章 「働きすぎる」ミドルの末路
第5章 「職場脳」からの脱却
第6章 残業できない時代をどう生きるか?
エピローグ 「働く技術」
あとがき
 新しいことを言っているようにも感じますが、企業は人なりというところに落ち着くかと思います。

【3.本書の感想】

松下幸之助氏や稲盛和夫氏のように、収益を追求するだけでなく、経営者たる者こそ、人間力を高めていく必要があります。
 
昔は、終身雇用制度が安定しており、経営者から社員まで、家族のような関係で、もっとお互いに信頼感というものがありました。
 
いつの頃からか、リストラや成果主義に基づく評価が導入されてくると、特に幹部は自己を守る傾向が強くなってきました。
 
自分が成果を出さないと評価が下がりますので、(部下を含め)他人の面倒を見ている暇があったら、自分の成果につながることをやる、と言う風潮になったと思います。
 
本書は、企業は人間の集団なので、「公正さ」を失わない「」が必要であるということを主張した内容になります。
 
是非、ご一読ください!

 

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最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!

【4.なんと著者より】

★新井健一さんにリツイートしていただきました。

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新井さん、ありがとうございます!