【1.本書の紹介】
ドイツの経済は好調なのに、休みが多い!というのが不思議でこの本を読みました。
ドイツでは、休みが何よりも大事だという事を言う人もいるようです。
仕事のやり方が日本のやり方と異なるところは、ドイツの仕事がその人に付いているのではなく、会社に付いているという事です。
つまり、その人がいなくても他の人がその業務を対応できると言うことです。
日本では、仕事を任されると、その人が責任を持つという事で、その人以外は分からないということがしばしばあります。
欧米流の割り切った考え方ですね。
この割り切った考え方、合理性が海外では進んでいて、日本は見習うべき所かなと思いました。
そして、ドイツでは、労働組合が強い事と、社会保障精度がしっかりしている点が特徴として挙げられます。
ある種社会主義チックな感じがしますが、ここは日本も似たところはあるかなと思います。
いいところばかりでなく、ドイツの悪いところも指摘しています。
代表的なのはサービスが悪い点です。
日本レベルのサービスにしようとすればそれは、それなりにコストがかかります。
日本ではよく「おもてなし」なんて言いますが、実は価格に転嫁できていない代表的なコストなのかも知れません。
これをどうするかは、業種によっては今後の検討課題になって来るかも知れません。
【2.本書のポイント】
・ドイツでは、仕事が人に付くのではなく、企業に付いている。そのため、他の社員がお客さんの問い合わせにすぐに対応できるように書類や電子ファイルをわかりやすく整理しておくことが徹底されている。・ドイツ経済の調子の良い理由は、1998年から2005年まで首相だったゲハルト・シュレーダーが「アゲンダ2010」という経済プログラムを断行した事。①雇用市場と失業保険制度の改革②低賃金部門の拡大③公的年金制度の改革(支給開始65才から67才へ)④公的健康保険制度の改革(市民の自己負担額の導入など)⑤賃金協定の柔軟化⑥派遣労働に関する規制緩和(派遣労働期間の制限廃止など)⑦所得税・法人税の減税及びキャピタルゲイン課税の廃止・本当にリッチな人とはお金をたくさん持っている人ではなく、自分の時間をたくさん持っている人・ドイツの経営者は、専門知識が豊富なスペシャリストを大事にする。社員の教育、研修には非常に長い時間とコストがかかる上、熟練工やベテラン社員を失うことは、大きな痛手になるからだ。・法律によって短い労働時間と長い休暇、健全なワーク・ライフ・バランスを保障し、勤労者を守る「多重防護システム」によって労働意欲を高める。高い労働生産性によって、国富を着実に増やす。競争力の高い製品によって貿易黒字と恒常的な経済成長を実現し、政府の借金を減らして財政を健全化する。・日本人が取り入れたいドイツ流報われる働き方。①自分に与えられている権限の中で決められることは、自分の責任で判断する。②打ち合わせや会議はどんなに長くても1時間以内に。③出張報告書や打ち合わせのメモはペーパー1枚以内に。④メールの送り先の数は最小限に。⑤退社する時には、次の日に達成すべき課題を箇条書きにして自分の机の上においておく。⑥課題リストには優先順位を付ける。⑦まずは顧客最優先。⑧重要で複雑な課題は、集中度が高い午前中に処理する。⑨口頭で済む連絡は口頭で済ます。⑩労働時間が10時間を超えそうになったら退社する。⑪週に1度は早い時間に退社して、仕事とは全く別の活動を行い、気分転換を図る。⑫有給休暇が14日ならば、思い切って14日間全部消化してみる。⑬ただし、長期休暇は課の全員が取れるようにすることが重要。⑭長期休暇中は会社のメールは読まない。⑮誰が見てもすぐに業務を担当できるようにする。⑯サーバー内の電子ファイルは単純に分類し、誰でもすぐに見つけられるようにする。⑰誰かが長期休暇の時は、他の社員が対応できるようにする。⑱生活リズムを朝型に変更し、1日を有効に使う。⑲昼休みは45分以内。⑳9時‐17時は仕事に集中。㉑特定の仕事中は電話に出ない。㉒最優先があるときは予定表に予定を入れる。㉓自分で入れる打ち合わせは1日1回。㉔社内打ち合わせがない日を月に1回設ける。㉕週に1度は運動を。㉖周りに理解をえて実行する。㉗家族を大切に。
【3.本書の感想】
この本の中で、自殺率のグラフが掲載されていました。
10万人当たり、ドイツ約11名、日本約21名、韓国名33名です。
労働時間だけを見ると、時間が短い程、精神衛生的に良いようです。
日本としては、今後、生産性を上げて労働時間を短くする努力が必要ですね。
生産性向上は個人の問題ではなく経営者の問題であるという人もいます。
一般的に高額な生産設備は、個人ではどうしようもないからです。
確かに、平成時代、日本では全体的に設備投資を控えていた為、生産性が向上しなかった点は否めないと思います。
効率的な生産手段と個人のスキルの向上。
この両輪がうまく回り出せば、日本もドイツ以上のゆとりのある、幸せな生活が得られるのではないかと思いました。
【4.関連書籍の紹介】
幸福度世界一のフィンランドはどうでしょう?
個人の生産性の上げ方が理解できます。
腹が立つことはあります。まずは、ストレスの発散から。
最後までのお付き合いありがとうございました!