京都のリーマンメモリーズ

京都で働くサラリーマンです。東寺や書籍の紹介をします。

【書評】サピエンス全史 上 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社

f:id:bkeita:20190615181243j:plain

  

【1.本書の紹介】

狩猟採集生活時代が、人間個人としては、現代人よりも知識があり、バランスの良い食生活を送っていたというのは、大変驚きました。
 
例えば、この木の実は食べても良い、この草を食べたらダメ、どうすれば獲物を捉えることが出来るのかなど、その当時は、生きるために必要な知識が沢山必要で、それを一人ひとりが親、兄弟などに教えられながら知識として蓄えていました。
 
その知識を持っているものは生き延び、知識がなかった人間は死んでしまったのでしょう。
 
自然の一員である人間は、狩猟採集が最も適した姿なのではないかと思います。
 
現代の人間は様々な事が出来るようになりました。
 
しかし、野山を駆け巡る狩猟生活民と自分を比べた場合、現代人は明らかに体力は劣っています。
 
携帯電話を使い始める前の自分と今の自分を比べた時、自分の頭で記憶している電話番号の数を思うと、今の自分は明らかに携帯電話を使う前の自分に劣っています。
 
文明は進んでいますが、人間は退化しているのではないでしょうか?
 
便利になったようで実は、人間の生物としての能力が退化している。
 
これは本当に文明の進化と言えるのでしょうか?
 
今ではおなじみの成人病、狩猟時代には、運動不足や食べ過ぎの問題なんてなかったんでしょうね。
 
運動不足や、食べ過ぎの問題なんて、生物的立場から言うと、「楽をし過ぎ」以外の何物でもないですよね。
 
先人達は、自分の子孫が、飢えや寒さから開放され、幸せになることを望んでいたと思いますが、まさか、食べ過ぎや運動不足で病気になるなんて思いもしていなかったと思います。
 
アニメ「はじめ人間ギャートルズ」で描かれた時代が、持続可能な人間の姿だったのではなかろうかと思います。
 
私は子供のころ、アニメの中で、あの輪切りにしたマンモスの肉をとても美味しそうに食べている人々を見て、お腹を空かせたものでした。(笑)
 

本書に掲載されている重要な出来事

  • 7万年前 認知革命が起こる。虚構の言語が出現する。
  • 1万2千年前 農業革命が起こる。植物の栽培化と動物の家畜化。永続的な定住。
  • 500年前 科学革命が起こる。人類は無知を認め、空前の力を獲得し始める。資本主義が台頭する。
  • 200年前 産業革命が起こる。家族とコミュニティが国家と市場に取って代わられる。動植物の大規模絶滅が起こる。
  • 今日 人類が地球とい惑星の境界を超越する。生物が自然選択ではなく知的設計によって形つくられることがしだいに多くなる。
  • 未来 知的設計が生命の基本原理となるか。ホモ・サピエンスが超人たちに取って代わられるか?

【2.本書のポイント】

私たちの言語を持つ真に比類ない特徴は、人間やライオンについての情報を伝達する能力ではない。むしろそれは、全く存在しないものについての情報を伝達する能力だ。見たことも、ふれたことも、匂いをかいだこともない、ありとあらゆる種類の存在について話す能力があるのは、私たちの知る限りではサピエンスだけだ。
 
ホモ・サピエンスはどうやってこの重大な限界をする乗り越え、何万もの住民からなる都市や、何億もの民を支配する帝国を最終的に築いたのだろう?その秘密はおそらく、虚構の登場にある。膨大な数の見知らぬ人どうしも、共通の神話を信じることによって、首尾よく協力できるのだ。
 
私たちとチンパンジーとの真の違いは、多数の個体や家族、集団を結びつける神話と言う接着剤だ。この接着剤こそが、私たちを万物の支配者に仕立てたのだ。
 
認知革命以降、サピエンスには単一の自然な生活様式等と言うものは、ついぞなかったのだ。
 
人類全体としては、今日の方が古代の集団よりもはるかに多くを知っている。だが個人のレベルでは、古代の狩猟採集民は、知識と技術の点で歴史上最も優れていたのだ。
 
人類は250万年にわたって、植物を採集し、動物を狩って食料としてきた。だが、一万年ほど前に全てが一変した。それはいくつかの動植物種の生命を操作することに、サピエンスがほぼ全ての時間と労力を傾け始めた時だった。人間は日の出から日の入まで、種をまき、作物に水をやり、雑草抜き、青々とした草地にヒツジを連れて行った。こうして働けば、より多くの果物や穀物、肉が手に入るだろうと考えてのことだ。これは人間の暮らし方における革命、すなわち農業革命だった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。
 
ホモサピエンスがそれらに家畜化されたのだ。
 
すなわち以前より劣悪な条件下であってもより多くの人を生かしておく能力こそが農業革命の真髄だ。
 
生物学と言う科学によれば、人々は「作られ」たわけではないことになる。人々は進化したのだ。そして、彼らは間違っても「平等に」なるようには進化しなかった。
 
人類は、大規模な協力ネットワークを維持するのに必要な生物学的本能を欠いているのに、自らをどう組織でそのようなネットワークを形成したのか、だ。手短に答えれば、人類は想像上の秩序を見出し、書記体系を考案することによって、となる。
 
現代の世界は、自由と平等との折り合いをつけられずにいる。だが、これは欠陥ではない。このような矛盾はあらゆる人間文化につきものの、不可分の要素なのだ。それどころか、それは文化の原動力であり、私たちの主の創造性と活力の根源でもある。

【3.本書の感想】

ホモ・サピエンスの素晴らしさは、虚構を生み出した事だと言っています。
 
神とか信用とか目には見えないが大事なもの。
 
確かに、物々交換しか出来ない世の中であれば、こんなに進化はしていないと思います。
 
この本には、気付かされることが沢山あり、いろんな事が書かれています。
 
消化するのに大変ですが、素晴らしい本だと思います。
 
 下巻に続きます。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

今ならなんとこの本が無料で聞けます!

最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!