京都のリーマンメモリーズ

京都で働くサラリーマンです。東寺や書籍の紹介をします。

【書評】本屋、地元に生きる  栗澤順一  KADOKAWA

今週のお題「盛り」

今、本屋が面白い!こんなことを言うと、「盛ったな」と思われるでしょう。しかし、本当に本屋さんは奮闘しています。今、店舗が閉店に追い込まれているのは、本を売る事だけを真剣に考えている本屋さんです。時代は変わりました。これからの本屋さんの姿を垣間見せてくれるという、すんごい本を紹介します。(笑)

 

【1.本書の紹介】

岩手県は盛岡市に本店を持つ「さわや書店」という本屋さんがあります。

 

この本屋さん、ビジネス本を読んだりしていても、たまに名前が出てきて、少し気になっていました。

 

盛岡に話題の書店がある。

 

面白い事を仕掛ける本屋らしい……

 

さわや書店のHPはこちらです。

books-sawaya.co.jp

最近は、単に本を買うのであれば、ネットで手配した方が圧倒的に楽です。

 

そんな時代背景もあり、いわゆる普通の本屋さんは閉店に追い込まれています。

 

しかし、このさわや書店は、県外からも見学者が絶えないほど、様々な工夫をしています。

 

さて、書店が生き残るには、どんな事を考えるとよいのでしょうか?


【2.本書のポイント】

本には旬というものがある。新刊だから旬というわけではなく、古い本でも旬がやってくる。そのタイミングを逃さずにいかにお客様に提案できるかが書店員に問われる。

 

この地、この売り場、このタイミングで売りたいと思った本を、最大限効果を発揮できるようにしながら仕掛けていく。

 

「ジュンク堂さんに行ってみてください。あちらの書店の方が品揃えがよく、専門的な本が揃っていますから」とスタッフ一同、答えるようにしていました。お客様にネットで注文されるよりは、他店であっても、リアル書店で本を手にしてほしいという考えもあった。

 

「もっと若い時に読んでいれば……そう思わずにはいられませんでした」という 手書きポップを目にされた方も多いと思います。2022年の時点で、「思考の整理学」(外山滋比古・ちくま文庫)の累計発行部数はなんと263万部。その ブレイクのきっかけになったのが、2006年に 松本大介さんが書いたこの魔法のポップです。

 

長江さんは、文庫 X に続く第2弾企画として「帯1グランプリ」を展開しています。タイトルや著者名を隠して、色々な文庫の帯だけを見せて販売する手法でした。

 

私が今、目指しているのは、”本に関わる全てを扱う総合商社”と言えるような存在になっていくことです。

 

どんなことに対しても、「それは本屋の仕事ではないですから」と断ったりはしない。 そんな積み重ねによって、地域に欠かせない存在になっていくのが理想です。

 

私は私で、本を手に取れる場所、本が売られる場所を作っていきたいと思います。もりおか町屋物語館や夜行書店、なないろの扉診療所のような常設の販売所をさらに増やしていって、選定会や出張販売も続けていきたいと思っています。

 

できるだけ多くの人に本を届けていくため、本の循環システムのようなものを実現させたいとも思っており、実際にスタートを切れたプロジェクトもあります。「象と花」がそうです。簡単に説明すれば、読み終えた本を回収に出してもらい、それを新しい一冊に変えて、病室で暮らす子供たちに贈る、という取り組みです。

 

自分がいいと思った本を並べて、ポップを作り、お客様を待つだけでは限界があります。さらにもっと何かをできないかと考え、個人個人がもがき続けることが大切なはずです。

 

書店の特性として持っている 信用性を活かして 地域経済の輪に入っていく意味も大きいはずです。

 

在庫勝負はできなくても、お客様の楽しみを増幅させる 売り場づくりができます。

 

ついつい買ってしまうという パターンをいかに増やすかは、書店員の個人のスキルにかかってきます。

 

【目次】

はじめに
第1章 さわや書店とはどんな本屋か
第2章 仕事で必要なノウハウはすべて営業で学んだ
第3章 地域経済の輪のなかで
第4章 ヒントはいつもまちの中に
対談 田口幹人×栗澤順一

【3.本書の感想】

さわや書店は、店長1人がユニークで、いろんな仕掛けをしているのかと思っていましたが、そうではなく、複数のユニークな人がいて、それぞれがユニークな考えを実践しているという事がわかりました。

 

POPで有名になったり、文庫Xという中身がわからないように販売したり、書店員のアイデアで目覚ましい結果を出しています。

 

異才がいる所には、異才が集まるのかもしれません。

 

ここで大切にしているのは、旬な本を読者とつなぐこと。

 

その思いで、本との出会いから買うまでの過程も、楽しめるように演出しています。

 

本屋さんの今後の姿は、単に本を売ることではないと思います。

 

本屋さんに行って、本だけずら―っと並んでいるのを見ても、何にも面白くないですね。

 

本屋さんに行ったら、思わず読みたくなる本が見つかったとか、新しい自分を発見したとか、やっぱり何か体験することにワクワク感を覚えるのだと思います。

 

これからの目指すべき本屋さんの姿というのは、本屋さんだけが目指す姿ではないかも知れません。

 

例えば、八百屋、肉屋、魚屋。

 

単品商売では生き残りづらい商売にも、ヒントがあると思います。

 

今の商売に行き詰まりを感じている方、商売のアイデアを探している方は是非ご覧ください!

本屋、地元に生きる

【4.関連書籍の紹介】

最近、面白い本屋として脚光を浴びている本屋さんの1つに天狼院書店があります。

HPを見るとそこには、ほとんど本の紹介はありません。(笑)

どちらかというと、講座屋さんみたいになっています。

tenro-in.com

そんな、天狼院書店ですが、京都にもお店があります。

そこのゼミに通っています。

今回書いた記事が、メディアグランプリに採用されました。

その記事がこちらです。

tenro-in.com

ずいぶん前に紹介したこの本、確かに、帯を見ると「さわや書店松本大介さん」と書かれています。

www.fukuikeita21.com

最後までのお付き合いありがとうございました。