【1.本書の紹介】
人口急減やウルトラ高齢化、超成熟市場、情報過多などで、新規顧客獲得がどんどん困難になっているこの時代において、どうすれば、消費行動を促すことができるのでしょうか?
その方法を紹介するのがこの本です。
「ファン」を大切にして、ファンをベースにして中長期敵な売上、価値を上げていく考え方です。
モノがありふれる時代において、お客様と具体的に、どう向かい合っていけば良いのでしょうか?
【2.本書のポイント】
自分たちが愛している商品の価値を支持してくれる「ファン」を喜ばすことほど、楽しい仕事が他にあるだろうか。
変化は大きく三つに絞られる
①日本社会の変化、②超成熟市場による変化、そして、③情報環境の変化である。
「選択肢が多ければ多いほど人は選ぶのに悩み、選んだ結果が本当にいいのか気にもなり、自信をなくし、結局選ぶのをやめてしまう」
びっくりすることに、検索を活用している人はほぼ東京に一極集中している。
「ソーシャルウェブの登場により、多種多様な人々と交流することが可能になった」という考えを抱いてしまうかもしれない。しかし実際は、私たちは自分に似た人々としか交流していない。
価値観が近い類友は、テレビやネットを凌ぐ最強メディア
ファンベース政策とは、あなたの店の常連さんを大切にし、彼らの LTV をあげていること。そして、常連さんを新たに作り少しずつ増やしていくこと、である。
企業はビジネスのやり方をひっくり返す必要がある。ファンである既存のお客さんを優遇し、情報を最初に知らせるべきだ。自社に対して時間とお金を費やしてくれている人に、「あなたは大切な方です」と知らせよう。
モノの背景に「人」がいることをどうやって感じさせるか
唯一の対抗策はすべての政策・接点・活動において、誠実であることだ。
ファンとは商品そのものではなく、商品が「大切にしている価値」支持している人である。ということは「価値」にファンがつく、ということだ。その価値を軸にファン・コミュニティを作るべきだし、その方が活気づくだろう。
「企業の本当の姿」がすぐに明らかになってしまう時代である。真の意味で企業の評価・評判を上げなければならない。そのためには丁寧かつ地道に培われた「信頼」が必要だ。
コアファンとは、お客様というより、大切にする価値を共有し喜び合う「仲間」であり、もっと言えば「身内」とも言える人なのである。
ファンの支持を強くするための3カ条
・その価値自体を、アップさせること
・その価値を、他に代え難いものにすること
・その価値の提供元の評価・評判をアップさせること
100人のお客より1人の熱烈なファン。これを生み出せば、お客さんの数が減っても、むしろ利益率は増えます。
スモールスタートで小さく初めて見ることでもファンの姿は見えてくる。
時間がかかるのではない。じっくりと「時間をかけたい」のである。
手間がかかるのではない。真摯に丁寧に「手間をかけたい」のである。
手離れが悪いのではない。楽しいから「手を離したくない」のである。
効率が悪いのではない。できるだけ長く「労力をかけて付き合いたい」のである。
人生を幸せにするのも、人を健康にするのも、人間同士のつながりである。
定年退職後一番幸福な人は、仕事仲間に代わる新しい仲間を自ら進んで作った人たちです。
【目次】
はじめに
第1章 キャンペーンや単発政策を、一過性で終わらせないために
第2章 ファンベースが必然な三つの理由
(1)ファンは売上の大半を支え、伸ばしてくれるから
(2)時代的・社会的にファンを大切にすることがより重要になってきたから
(3)ファンが新たなファンを作ってくれるから
第3章 支持を強くする三つのアプローチ~共感・愛着・信頼
「共感」を強くする
「愛着」を強くする
「信頼」を強くする
第4章 ファンの支持をより強くする三つのアップグレード~熱狂・無二・応援
「熱狂」される存在になる
「無二」の存在になる
「応援」される存在になる
第5章 ファンベースを中心とした「全体構築」の3パターン
(1)中長期ファンベース作のみで構築する
(2)短期・単発製作でファンを0から作っていくところから始める
(3)中長期ファンベース施策を軸に、短期○短髪政策を組み合わせていく
第6章 ファンベースを楽しむ(もしくは実行の際のポイントの整理)
あとがき
【3.本書の感想】
モノがあふれる時代になってしまいました。
どれだけいいモノを作っても売れない時代です。
それを買う理由は何でしょうか?
この本にわかりやすくて面白い事例が載っていました。
居酒屋を経営している人の話です。
おにぎりが全然売れなかったので、「かなちゃん(バイトの可愛い子)が握った真心おにぎり」と表記したら、あっという間に毎日売り切れるようになった。
商品は変わりませんが、言葉を付け足しただけで、ただのおにぎりに価値がついた瞬間ですね。
私がこの居酒屋のお客だったら、「とりあえず、ビールとおにぎり」と言っていると思います。(笑)
ここで紹介されている事例、ソニーの一眼カメラ「α」、カゴメ、広島東洋カープ、カルビー、鶴屋百貨店は、それぞれに多くの競合他社がありますが、もう他社を選ばないくらいの体験を仕掛けています。
もう忘れられないくらいの体験をしたファンは、他社には行かないでしょう。
そんなファンに支えられる製品、サービスは、今度はファンがその製品、サービスをよくしようと働きかけて来ますので、とてもいいモノができて、そしてまた売れます。
安さだけで勝負できる時代は終わりました。
ブランドや商品のストーリーを磨き上げること、そこに集う楽しさや意味を提供していかないと、他社製品との差別化ができなくなって、結局値段勝負になってしまいます。
最近、モノからコトへと言われていますが、もちろん、キチンとしたモノはベースとして大切です。
そのモノを買ったお客様が得られる機能以上の価値を、どれだけ与えられるかが勝負ですね。
新しいマーケティングの具体的な事例が載っていて、大変分かりやすい本です。
商品を作っている方、ブログ運営をされている方には、参考になると思います。
是非御覧下さい!
ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために (ちくま新書)
【4.関連書籍の紹介】
悔しいですが、共感をビジネスにつなげている人で1番有名な人です。
私はゆうこすのファンではありません。(笑)
イイものは世の中にあふれています。
「コレを買う理由」がないとお客様は買ってくれません。
モノそのものを欲しいのではなく、モノを通じた体験が売れる時代です。
最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!
【5.著者より】
著者の佐藤尚之さんが会長を務めるファンベースカンパニーさんより「いいね」を頂きました!
ファンベースカンパニーさん、ありがとうございました!