「イシューからはじめよ」の大ヒットで一躍時の人となった安宅和人さんの最新作です。
サブタイトルは「AI✕データ時代における日本の再生と人材育成」です。
移り変わり激しい今の時代に、日本復活に向けてやるべき指針を示したことで、多くの人から注目を集めている本です。
【1.本書の紹介】
これからはAI時代のフェーズ2に移ります。
いよいよ日本が活躍すべき時がやってきたので、皆さん、今こそ行動に移りましょう!
日本にはイノベーターがいないとか、GAFAのような企業が出せないとか嘆いている人がやたら多いと思いませんか?
しかし、歴史を紐解くと、たいていフェーズ2から頑張って、素晴らしい成果を上げているのが日本なので、何も悲しむ事はありません。
和を以て貴しと為すお国柄の国民は、人と同じことをすることが最優先という意識を植え付けられ、人と違うことをしなさいというような教育は受けていません。
他国に比べ、課題(社会的問題)が少なく、居心地も良いため、新しい問題を解決しようという必要性に恵まれません。
文字も仏教も医学も自動車や電気機器なども最初は外国の技術をマネたものでしたね。
だから、今回も大丈夫なんです!
さて、日本が活躍する為にやるべきことがあります。
まず、企業はAI-ready化することです。
AI-ready化のレベルは下記になっています。(出典:経団連2019年AI-ready化ガイドライン)
レベル1はAI-ready化以前の企業
レベル2は初期のネット系スタートアップ
レベル3は中~大インターネット関連企業
レベル4はSpotifi他先端利用活用企業
レベル5はアリババ、アマゾン、グーグルなど
日本の企業はほとんどがレベル1だと思いますが、このレベルを上げていく事が必要です。
そして我々、働き手側、その中で働く時間がまだ残っている中年以上は、勉強をやり直す事が必要です。
AI時代を背負って立つ若い世代に対しては、国の予算を確保して、大学で、学生の負担なくドクターを取れるようにする事です。
重要課題は、若手を育てる事です。
お年寄りが使っている社会保障費についてはある程度見直して、若い世代に予算が行くようにしましょう!
簡単に言うとこんな感じになりますが、本書では、たくさんの資料と考察を加えながら、進むべき道を示しています。
ここには、日本の再生スケジュールが書いてあります。
世の中の政治家先生達は、この本をよく読んで、日本の立て直しに全力を尽くして欲しいと思います。
【2.本書のポイント】
AI とデータに得意なことはAIとデータに任せ、浮いた諸力をヒトにしか生み出せない価値の打ち出し、ヒトにしかできないこだわりや温かみの実現を目指していくことが、ビジネスの勝負どころになっていく。
目には見えないが、スマホの上に現在、世界最大の”大陸”があることを理解している日本人は残念ながらまだ少ないように思える。
今上位に来ている企業群が、それまで米国が誇ってきた大企業群、例えば GE、IBM、Walmart、DuPontなどから生まれたわけではないということだ。全く見えないところから新しいゲームが始まり、そこに参加しなかったために国としてジリ貧になったのだ。
「未来を変えている感」が企業価値になり、これをテコに投資し、最終的に付加価値、そして利益につながるという真逆の流れになった。
持続可能なエネルギーの世界を創ると掲げるイーロンマスクのように、「妄想し、カタチにする」ことが富に直結する時代だ。
この複素数平面ゲームで未来を仕掛けるために何を考えるべきだろうか。これに対する僕の答えはシンプルだ。「未来=夢✕技術✕デザイン」だ。
大切なのは、目に見えない特別な価値を生み出せるかどうかだ。素晴らしい世界を描き、領域を超えたものをつなぎデザインする力が、これまで以上に重要な時代を僕らは生きている。
多くの経営者は日本の学校教育には期待していないと言いながら、自らも人材開発にリソースを投下していないのだ。おそらくここで浮いた費用が残業代になっているという悲しい現実が推測される。
日本は歴史的に見てみると、フェーズ1をやったことがない。フェーズ2、フェーズ3の勝者なのだ。
文理を問わず高等教育を受けた全ての人が理数・データ素養を基礎教養として使うことができているか。
大半の会社にアーキテクト的な人材がいて、ベンダーに丸投げすることなく事業の刷新、創造、運営の要を担っているのか。
日本の本来の勝ち筋は次の4つにまとめられる
全てをご破産にして明るくやり直す
圧倒的なスピードで追いつき一気に変える
若い人を信じ、託し、応援する
不揃いな木を組み、強いものを作る
0to1が価値創造の中心になる世界においては、単なる技術獲得だけではなく、夢を描く力、すなわち妄想力と、それを形にする力としての技術とデザイン力がカギだということだ。
これからは誰もが目指すことで一番になる人よりも、あまり多くの人が目指さない領域あるいはアイディアで何かを仕掛ける人が、圧倒的に重要になる。こういう世界が欲しい、イヤなものはイヤと言える人たちだ。
実質的な無競争空間を生み出せるかどうかが、幸せへのカギだ。競争から解き放たれたとき、人も事業も自由になれる。
気の利いた人は、是非思いがけない道を選んで欲しいなと思う。そういう人たちが、異人となり、未来を作っていくのだから。
青年よ、未来は君らの非凡な選択にかかっている。
「ヤバイ」未来を仕掛ける担い手として若者が本当に重要だということだ。
ここからはデータや AI を使い倒せる人とそうではない人の戦いになる。
”オワコン”(終わった人)にならないためには、MOOC(インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模な教育プログラム)、専門学校、大学などを活用しながら、リテラシーや人間力を鍛えていくことが望ましい。
エンジンの設計や自動車の製造方法が分からなくても運転技術やタイヤ交換、バッテリージャンプなど基礎的なトラブル対応は習得できる。データ解析や AI も同じだ。
人間に残る役割がある。自分なりに見立て、それに基づき方向を定めたり、何をやるかを決めること、また問いを立て、さらに人を動かすことだ。
ほしい姿をデザインする際のベースになるのは、夢を描く力、妄想力、そして自分なりに見立てる力だ。
集め過ぎ、知りすぎが起きていない段階の比較的若い人から新しいアイデアが生まれ、そこから未来が創られるのは半ば必然と言える。
問いに答えを出す以上に、適切な問い、解くべき課題(イシュー)を見出し、整理することだが、これは知的生産の核心の一つだ。
言葉にならない世界が大半だと受け入れ、まずは感じることを幅広く受け止められるようにすることが大切だ。
まずは一つでもいいから半ば変態的にこだわる領域を見つけることが、深い知覚を持つ領域を生み出す近道になるのではないだろうか。
高等教育が終わった段階でも大半の人がリベラルアーツ教育の基礎となる三学(文法学、論理学、修辞学)を身につけていないのだ。
生み出す仕事の大きさは、「どれだけ大きな存在に対して、どれだけ勢いよく、どれだけの変化(距離)を引き起こしたか」だ。
「自分たちの未来の空間をどうやって作るかを考える」ことはこれからの世代にとっての価値創出そのものだ。
大学に行く層の半分程度は中国の漢字ぐらいは読めた方が良いのではないか。
新しい未来を生み出す人は、今も昔も若い人たちが中心だ。
国のような公共機関が行う取り組みの中で最も ROI(投下資本あたりの戻り) の高い取り組みのトップが教育・人材開発であり、それに次ぐのが科学・技術開発であるということだ。
未来の人づくり、特に国レベルを支える専門層、リーダー層づくりのために、予算が不可欠なのだ。
データ✕AI 化におけるフェーズ1からフェーズ2、3に一気に移る局面であることは事実であり、そのような半ば不連続な局面において最初にツバを付けた人たちに多くの未来が待っていることは、過去のイノベーション勃興期と同様でこれからも変わらないからだ。しかも、日本がさまざまに強みを持つ境界領域、応用領域の刷新フェーズに入るわけで、今やらない手はない。
実際に若手の助教、講師クラスで世界クラスの研究をしている人はポロポロとこの国を去っていっている。
実は世界の主要国でPhD取得に明示的にまとまったお金が必要な国は日本しかない。
過去の膨大な遺産を毎年数年以上のペースで溶かしているのが現在の日本だ。まともな未来を次の世代に残そうと思うなら、今こそ我々は動くべきだ。
富を生み出すための前提が変わり、その人なりの深い知覚を育てる必要性が急激に高まっているにもかかわらず、創るべき人材像の刷新がほぼ一切行われていない。
解決のために必要な取り組みも驚くほどシンプルだ。「育て評価する人の像を刷新する」、それに伴って「もう少し未来にリソースを寄せる」、それだけのことだ。
未来は目指すものであり、創るものだ。
今捨てられつつある空間をよく見ると、シンプルな自動化技術では解決できない課題が大きく2つあることが見えてきた。一つが空間を維持し続けるためのインフラコストの異様な高さであり、もう一つが都市の利便性や楽しさに対抗し得るだけの、土地としての求心力を持たせることの困難さだ。
【目次】
はじめに
1章 データ✕AI が人類を再び解き放つ-時代の全体観と変化の本質
1歴史的な変革期
2知的生産そのものが変わる
3不連続な変化はデータ✕ AI だけではない
4未来の方程式
2章 「第二の黒船」にどう挑むか-日本の現状と勝ち筋
1一人負けを続けた15年間
2埋もれたままの三つの才能と情熱
3国力を支える科学技術の急激な衰退
4データ✕ AI 世界で戦うには
5日本に希望はないのか
6まず目指すべきは AI-ready な社会
7日本の未来の勝ち筋
3章 求められる人材とスキル
1ワイルドな局面で求められる人材とは
2普通ではない人の時代
3多面的な人材の AI-ready 化
4知性の核心は「知覚」
第4章 「未来を創る人」をどう育てるか
1 3層での人づくり
2国語と数学の力を再構築する
3未来が仕掛ける人を育てる6つのポイント
4初等・中等教育刷新に向けた課題
5専門家リーダー層の育成
5章 未来に賭けられる国に-リソース配分を変える
1圧倒的に足りない科学技術予算
2日本から有能な人材がいなくなる
3産学連携の正しいエコシステムを作る
4若い人に投資する国へ変わろう
5未来のための原資を作り出す思案
第6章 残すに値する未来
1不確実な未来にいかに対処するか
2この星は今、どうなっているか
3新たなテクノロジーと持続可能な世界
4ビジョンから未来をつくる-「風の谷」という希望
おわりに
【3.本書の感想】
こちらは、著者、安宅さんのスピーチの様子です。
時間のある方はご参考下さい。
この動画でも、今は、びっくりするくらい遅れているけども大丈夫だ、とおっしゃっていますね。
勇気がでますね。(笑)
そしてこれからは、妄想力が勝負だといっています。
ん?いよいよ私の時代かもしれません。
どうでもいい妄想なら、いつもしてますからね。(笑)
お金持ちになったらどうししょう~♡。
こんなにモテちゃったらどうしよう~♡。
日本の国民の皆様にとって役に立たない妄想でしたら、申し訳ございません。(笑)
いよいよ、AIの時代になるのは間違いありません。
我々は、AIを理解して、仕事を効率化し、人間的なコトに時間をかけて価値を創って行く働き方に変えなければなりません。
我々中年は中年(心は若手)で頑張らないといけませんが、未来を創るのはやはり若手なので、若手に頑張ってもらわないといけません。
そのためには、若手には道を譲り、若手が活躍しやすい環境を創るのが、重要ですね。
私は、道端にいるので、元々譲れる道がありません。(笑)
しかし、企業が数十年も続くと、知らず知らずのうちに若手が活躍しづらくなっているのかも知れません。
国には、国として頑張ってもらうとして、我々は民間企業の立場で、将来を担う若手の活躍を促進するような場を作っていくべきだと思いました。
この本は、今、話題の本です。
この本を読んでおけば、意識高い系と思われます。
世の中の意識高い系の人達は、この本を読んで語り合っています。
「シン・ニホン読んだ?」と言われて、「まだですぅ。」と言ってしまうのは、ビジネスマンとしてはマイナスですね。
早めに読んで、AI時代の日本再生について熱く語れるだけの材料を準備しておきましょう!
ビジネスマンの方、日本を再生したいと思う方は是非、読んで下さい!
シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング)
言わずも知れた安宅さんのロングセラーです。
AIについて易しいレベルから理解したい人はこちらです!
野口さんは「シン・ニホン」公認アンバサダーでもあります。
世界最高峰を目指し難しい方のAIに挑戦しているのはこちらです。
「1分で話せ」の著者、伊藤さんも「シン・ニホン」をお勧めしていました。
最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!